標準情報 TR X 0048:2001

XSL変換(XSLT) 1.0 解説



1. 公表の趣旨及び経緯

XSL変換(XSLT)は, XSL(Extensible Stylesheet Language)と共にXML文書へのスタイル指定を標準的な方法で記述して, スタイル情報を保存した文書交換を可能にするものとして, W3C(World Wide Web Consortium)によって開発された。特にXSLTは, スタイル指定に先立ち, XML文書の構造変換を指定する言語として, XSLの規定本体から切り離された独立した規定として, XSLより早く公表された。

XSLTは, 既に幾つかの実装が発表され, 実運用が開始されている。XSLは, 最終的な勧告(Recommendation)がW3Cから公表される以前から, 実装が報告され, 解説書籍も出版されて, スタイル情報を保存した文書交換への強い要求と期待とが表面化している。

そこで, 財団法人日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)の中に設けられた電子出版技術調査研究委員会は, 1999年度の活動としてXSLTの調査研究を行い, その重要性を認識して, 標準情報(TR)として公表することが望ましいことを確認した。2000年度において, 電子出版技術調査研究委員会の作業グループWG1がTR化の作業を担当し, 2001年3月に標準情報(TR)の原案を完成して経済産業省産業技術環境局に提出した。

2. 審議中の主要検討課題

2.1 訳語

訳語選定に際しては,JIS X 4153:1998(DSSSL)並びに標準情報TR X 0011:1998(CSS1)及びTR X 0032:2000(CSS2)との整合を配慮した。この標準情報(TR)で採用した主な訳語の例を解説表2.1に示す。

解説表2.1 訳語一覧
原語訳語
(syntactically) leagal構文に合った
alert box警告ボックス
alphanumeric tokens英数文字トークン
archetypes原型
ASCII alphanumeric charactersASCII英数文字
assignment operator割当て演算子
associated URI関連URI
attribute value template属性値テンプレート
base URI基底URI
bibliographic references書誌参照
compatibility characters互換性のある文字
computing generated text生成テキストの計算
conditional processing条件処理
consecutive node一連のノード
core function libraryコア関数ライブラリ
cross‐reference structure相互参照構造
current node現ノード
current template rule現テンプレート規則
decimal format10進フォーマット
default priorityデフォルト優先度
descendant source elements子孫ソース要素
digital signatureデジタル署名
disable無効化(の)
documentation文書化
duplicate definitions重複定義
element syntax summary notation要素構文要約記法
ellipses省略記号
enable有効化(の)
entension functions拡張関数
expanded-name拡張名
expression language式言語
extension namespace拡張名前空間
extention functions拡張関数
fallbackフォールバック
final local variable declarationfinal局所変数の宣言
format pattern stringフォーマットパタン文字列
formatting objectフォーマット化オブジェクト
forward compatible processing前方互換処理
generalized ID一般化ID
global variables大域変数
hooks フック
identity transformation識別性変換
if-then conditionalityif-then条件
ill‐formed不整形式の
import precedenceインポート優先順位
import treeインポート木
include取り込む,含む
included取り込まれる側の
including取り込む側の,取込み
including document取込み文書
initializer初期化子
instantiateインスタンス化する
instruction element命令要素
internal subset内部のサブセット
lexicographically辞書順に従って
literal namespace URIリテラル名前空間URI
literal result elementリテラル結果要素
localize現地化する
locate位置決めする
location path位置決めパス
mapping対応付け
match pattern一致パタン
merge併合する
mixed content混合内容
named template名前付きテンプレート
namespace node名前空間ノード
newline characters改行文字
non-terminating processing loops非終端処理ループ
non‐XML aware processXML以外を認知する処理
number sign character番号記号文字
numbering sequence番号付けシーケンス
offending node違反ノード
operations演算
optimization hints最適化ヒント
output escaping出力エスケープ
per‐mille characterパーミル(千分率)文字
pop upポップアップする
post-order traversal後順たどり
precedence優先順位
predicates述語
prefix接頭辞
primary sort key1次ソートキー
processing instruction nodes処理命令ノード
processing resources処理資源
production生成規則
qualified name修飾された名前
recursive processing再帰的処理
region範囲
relative URI相対URI
result object結果オブジェクト
result tree結果木
result tree fragment結果木素片
secondary sort key2次ソートキー
separator tokens分離子トークン
service security riskサービスセキュリティリスク
siblings兄弟
source treeソース木
source tree structuresソース木構造
standalone document declarationスタンドアロン文書宣言
string-value文字列値
sub patterns部分パタン
subelement下位要素
subtree下位木
template ruleテンプレート規則
top-level element最上位要素
tree level木レベル
tree representation木表現
type node-setノード集合の型
Unicode categoryUnicodeの分類
unique identifiers一意識別子
unparsed entities解析対象外実体
URI schemesURI方式
variable bindings変数の束縛
variable-binding element変数束縛要素
version
well-formed external general parsed entity整形式の外部一般解析実体
whitespace stripping空白の削除
whitespace-preserving element names空白を保存する要素の名前
wrappingラッピング
XML output methodXML出力メソッド
XML vocabularyXML語い(彙)
Xpath id functionXpath id関数
Xpath node testXpathノードテスト
XSL formatting vocabularyXSLフォーマット化語い(彙)

2.2 章・節構成

W3Cの規定は, 必ずしもJIS又は標準情報(TR)の様式には整合していないため, 整合化の対応が必要である。しかしTRの読者が原規定を参照する際の便を考慮すると, 章・節構成はなるべく原規定のそれを保存することが望まれる。そこで, 次に示すだけの修正(章・節番号の変更なし)を施して, この標準情報(TR)を構成した。

2.3 その他の翻訳表記上の規則

原規定は, HTMLを用いて記述されている。この標準情報(TR)も原則として, 原規定のタグを保存することにしたが, 特に次の点に留意した。

3. 懸案事項

翻訳作業の過程で原規定における問題点の幾つかが明らかになっている。W3Cでの次版への検討のために, これらの問題点をW3Cに提出する。

4. 原案作成委員会

この標準情報(TR)原案を作成した(財)日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)の電子出版技術調査研究委員会及び作業グループWG1の委員構成を, それぞれ解説表4.1, 解説表4.2に示す。

解説表4.1 電子出版技術調査研究委員会
氏名所属
(委員長)池田 克夫京都大学
(幹事)小町 祐史松下電送システム株式会社
(幹事)大久保 彰徳株式会社リコー
(幹事)長村 玄株式会社ドキュメント・エンジニアリング研究所
(幹事)高沢 通大日本スクリーン製造株式会社
(幹事)内山 光一株式会社東芝
礪波 道夫日本新聞協会(読売新聞社)
小笠原 治社団法人日本印刷技術協会
八田 勲経済産業省産業技術環境局
(オブザーバ)稲橋 一行経済産業省産業技術環境局
(オブザーバ)永井 裕司経済産業省産業技術環境局
(オブザーバ)有木 靖人日本新聞協会
(事務局)内藤 昌幸財団法人日本規格協会

解説表4.2 作業グループ WG1
氏名所属
(主査)小町 祐史松下電送システム株式会社
(幹事)内山 光一株式会社東芝
(幹事)大久保 彰徳株式会社リコー
奥井 康弘株式会社日本ユニテック
海田 茂ネクストソリューション株式会社
内藤 広志大阪工業大学
矢ケ崎 敏明キヤノン株式会社
(オブザーバ)浅利 千鶴浅利会計事務所
(オブザーバ)永井 裕司経済産業省産業技術環境局
(事務局)内藤 昌幸財団法人日本規格協会