標準情報(TR)    TR X 0090:2003

XTM 1.0のための処理モデル —
XMLトピックマップのための処理モデル
解説



1. 公表の趣旨及び経緯

トピックマップは, HyTimeの構文に基づくISO/IEC 13250:2000(JIS X 4157:2002[1])によってまず規定され, 公開された。しかし, その後のトピックマップのほとんどの実装は, XMLの構文を用いたXML Topic Maps (XTM) 1.0(TR X 0057:2002[2])の規定による。

トピックマップ情報の交換に必要な構文の処理規則の一部は, 既にTR X 0057に含まれているが, その後の検討がTopicmaps.netのエキスパートによって続けられ, Processing Model for XTM 1.0としてまとめられた。

現在, ISO/IEC JTC1/SC34では, トピックマップのデータモデル及び参照モデルの標準化が進められている。データモデルが確立されれば, トピックマップ情報の表現方法が統一されるだけでなく, データモデルを介して異なる構文への変換も容易になる。参照モデルについては, Processing Model for XTM 1.0を基礎に, データモデルよりもさらに抽象度及び汎用性の高いモデルの構築が目指されていて, それが確立されれば, トピックマップ情報だけでなく, 他のメタ情報体系(例えば, RDF情報)との情報交換も参照モデルを介して可能になる。

既に国内でも, トピックマップ応用システムが報告されている。他のメタ情報体系による情報整備も進められていて, トピックマップ情報及び他のメタ情報体系との交換性が強く望まれているため, TR X 0057の原案作成を行った(財)日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)の"将来型文書統合システム標準化調査研究委員会(AIDOS)"は, Processing Model for XTM 1.0の意義を2001年度の報告に示すとともに, 2002年度の活動としてその翻訳を行い, 標準情報(TR)の原案として, 2003年3月に経済産業省の産業技術環境局に提出した。


2. 審議中の主要検討課題

2.1 主な訳語

翻訳においては, 訳語のJIS X 4157及びTR X 0057との整合に配慮した。ここで採用した主な訳語を解説表2.1に示し, 今後の関連規定の作成等に際しての参考とする。

解説表2.1 主な訳語
原語訳語
addressable subject番地付け可能な主題
association member role関連メンバ役割
basename基底名
connect結び付ける
endpoint端点
identity point識別性点
initial開始
membership所属関係
merging併合
null set空集合
occurrence type出現型
published subject indicator公開された主題指示子
reportable error報告可能な誤り
scope有効範囲
subject identity主題識別性
subject indicating resource主題指示資源
subordinate従属
synonym同義語
topic characteristicトピック特質
topic naming constraintトピック名前付け制約
variant name異形名
wrapperラッパ

2.2 章・節などの構成

Topicmaps.netの規定は, 必ずしもJIS又は標準情報(TR)の様式には整合していないため, 整合化の対応が必要である。しかしTRの読者が原規定を参照する際の便を考慮すると, 章・節構成はなるべく原規定のそれを保存することが望まれる。そこで, 次に示すだけの修正(章・節番号の変更なし)を施して, この標準情報(TR)を構成した。


3. 懸案事項

原規定に規定らしくない記述があるため, あえて次の対応を行っている。


4. 参考文献

[1] JIS X 4157:2002, SGML応用 - トピックマップ, 2002-08

[2] TR X 0057:2002, XMLトピックマップ(XTM) 1.0, 2002-06


5. 原案作成委員会

この標準情報(TR)の原案を作成した(財)日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)の将来型文書統合システム標準化調査研究委員会(AIDOS)及び作業グループ(WG1)の委員構成を,それぞれ解説表5.1及び解説表5.2に示す。

解説表5.1 将来型文書統合システム標準化調査研究委員会
氏名 所属
(委員長) 矢部 初男 電気通信大学
(幹事) 大野 邦夫 ドコモ・システムズ株式会社
(幹事) 小町 祐史 パナソニック コミュニケーションズ株式会社
安達 文夫 国立歴史民俗博物館
飯島 正 慶應義塾大学
今門 政記 株式会社モスインスティテュート
内山 光一 株式会社東芝
上村 圭介 国際大学
河込 和宏 株式会社東芝
菊田 昌弘 株式会社シナジー・インキュベート
出葉 義治 ソニー株式会社
内藤 求 株式会社シナジー・インキュベート
宮澤 彰 国立情報学研究所
山田 篤 財団法人京都高度技術研究所
高橋 昌行 経済産業省 産業技術環境局標準課
オブザーバ 篠原 章夫 日本電信電話株式会社
(事務局) 内藤 昌幸 財団法人日本規格協会

解説表5.2 作業グループ1(WG1)
氏名 所属
(主査) 小町 祐史 パナソニック コミュニケーションズ株式会社
今門 政記 株式会社モスインスティテュート
内山 光一 株式会社東芝
大野 邦夫 ドコモ・システムズ株式会社
上村 圭介 国際大学
内藤 求 株式会社シナジー・インキュベート
宮澤 彰 国立情報学研究所
矢部 初男 電気通信大学
高橋 昌行 経済産業省産業技術環境局
オブザーバ 今村 剛 日本IBM株式会社
(事務局) 内藤 昌幸 財団法人日本規格協会