標準仕様書(TS)   TS X 0071:2004

多目的インターネットメール拡張(MIME)
第3部 非ASCIIテキストへのメッセージヘッダ拡張 解説



この解説は,標準仕様書(TS)本体及び附属書に規定・記載した事柄,並びにこれらに関連した事柄を説明するもので,標準仕様書(TS)の一部ではない。


1. 公表の趣旨及び経緯

1.1 公表の趣旨

多目的インターネットメール拡張(MIME)は,インターネット公式プロトコル規定STD11(RFC 822)で規定されるインターネットメールのフォーマットを拡張し,US-ASCIIテキスト以外のメールを利用可能にする。MIMEは,インターネットでの日本語の電子メールの送受信を可能とし,電子メールにファイルを添付することも可能にする。これらの機能は,現在のインターネットメールにはなくてはならない。インターネットメールだけでなく,ワールドワイドウェブにおけるコンテンツフォーマットの種類の指定にも使用され,ウェブサーバの運用及びウェブ利用者エージェントでのコンテンツ閲覧のためにも必要となる。したがって,MIMEは,電子メールの拡張フォーマットであると考えるより,もっと広範なインターネット上のコンテンツのメディア記述のための統一的な枠組みであると考える方が適切といえる。

MIMEの枠組みによって定義される内容型は数多くあり,例えば,TR X 0045 [ディレクトリ情報のためのMIME内容型(RFC 2425に一致)]及びTR X 0046 [vCard電子名刺のMIMEディレクトリプロファイル(RFC 2426に一致)]は, MIMEの枠組みによって定義される。JIS X 4156 [ハイパテキストマーク付け言語(HTML)]による文書には,text/htmlというMIME内容型及び下位型が割り当てられる。これらの事例が示すとおり, MIMEは,JIS及び標準情報(TR)からも頻繁に参照される基本的な規定であり,標準情報(TR)として公表することが望まれていたため,MIMEの規定を技術的内容を変更することなく翻訳を行って, 公表するものである。

MIMEは,RFC 2045, 2046, 2047, 2048及び2049の五つのRFCで規定されるが,この標準仕様書TS X 0071は,RFC 2047を技術的内容を変更することなく翻訳したものである。

1.2 公表の経緯

経済産業省は,財団法人日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)に対して2001年度及び2002年度の活動として,MIME関連のRFCのTR化作業を委託した。INSTACでは,"電子出版技術調査研究委員会"がこの作業を担当して,TR原案を作成し, 2003年5月に経済産業省に提出した。この原案は, 工業標準化法に基づいて日本工業標準調査会 標準部会の情報技術専門委員会(2003年12月開催)で公表を承認された。

MIMEは,RFC 2045, 2046, 2047, 2048及び2049の五つのRFCで規定されるが, RFC 2045については,TR X 0069 として既に公表されている。RFC 2046については,この標準仕様書(TS)と同時期に, TS X 0070として公表される予定である。 RFC 2048及びRFC 2049については,この標準仕様書(TS)を公表する時点で,標準仕様書候補として原案作成中である。


2. 審議中の検討事項

2.1 翻訳に関する事項

2.1.1 訳語

訳語の選定に当っては,JIS X 0032 (電子メール用語)に訳語があって類似の意味で使われている場合には,その訳語を採用した。ただしここでは,JIS X 0032での定義と必ずしも同一の定義で用いられているわけではないことに注意。

この標準仕様書(TS)で使った主な訳語は,TR X 0069の解説に示してあるので,参照すること。

2.1.2 章・節構成

RFCの原規定は,必ずしもJIS又はTSの様式には整合していないため,編集上の修正が必要になる。TSの読者が原規定を参照する際の便を考慮すると,章・節構成はなるべく原規定のそれを保存することが望まれる。そこで,次に示すだけの修正を施して,TS原案とした。2.から9.及び附属書A.の章・節構成は,原規定のそれに一致している。

2.2 正誤表について

RFC 2047に対して,RFC編集者より,正誤表(Errata)が公開されている。ただし,RFCの正誤表は,報告のあったものを参考情報として公開しているだけであって,RFCが改定されるわけではない。正誤表の真偽の判断及び適用の如何は,読者の判断にまかされている。本標準仕様書(TS)でも,原RFC規定を忠実に翻訳するにとどめ,正誤表の内容については,標準仕様書(TS)に反映させず,真偽の判断も行わない。

正誤表を公開しているアドレスは次のとおりである。必要に応じて,参考にするとよい。

http://www.rfc-editor.org/errata.html


3. 原案作成委員会の構成表

この標準仕様書(TS)の原案を作成した財団法人日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)の電子出版技術調査研究委員会及びその作業グループ(WG3)の構成表を,次に示す。委員氏名及びその所属は,原案作成を完了した年度である2002年度末のものである。

解説表3.1 電子出版技術調査研究委員会 構成表
氏名所属
(委員長)池田 克夫大阪工業大学
(幹事)小町 祐史パナソニックコミュニケーションズ株式会社
大久保 彰徳株式会社リコー
長村 玄ネクストソリューション株式会社
高沢 通大日本スクリーン製造株式会社
内山 光一株式会社東芝
(委員)小笠原 治社団法人日本印刷技術協会
礪波 道夫社団法人日本新聞協会(読売新聞社)
木戸 達雄経済産業省産業技術環境局
(オブザーバ)三瀬 元康社団法人日本新聞協会
高橋 昌行経済産業省産業技術環境局
(事務局)内藤 昌幸財団法人日本規格協会

解説表3.2 作業グループ(WG3) 構成表
氏名所属
(主査)小町 祐史パナソニックコミュニケーションズ株式会社
(幹事)平山 亮金沢工業大学
(委員)今門 政記株式会社モスインスティテュート
内山 光一株式会社東芝
志田 智株式会社インターネット総合研究所
矢ケ崎 敏明キヤノン株式会社
大久保 彰徳株式会社リコー
(オブザーバ)安達 淳株式会社沖データ
澤田 位財団法人日本規格協会
市川 孝アドビシステムズ株式会社
山本 太郎アドビシステムズ株式会社
三瀬 元康社団法人日本新聞協会
長村 玄ネクストソリューション株式会社
高橋 昌行経済産業省産業技術環境局
(事務局)内藤 昌幸財団法人日本規格協会