00. 基本用語

番号
用語
定義
対応英語
参考
00.01* タイポグラフィ

(1) 活版印刷術又は組版の技術。
(2) 書体の意匠。
(3) 書体を使用した意匠。

typography  
00.01.01* 組版 文字の連なりを空間的に配置することによって,孤立した文字だけでは困難な表現を行うプロセスの総称。原稿及びレイアウトの指定に基づいて,印刷物又は電子出版物の上での文字の組み方を決めること(JIS X 4052参照)。 composition  
00.01.01.01* 植字 文字を組むことを主とする組版。 typesetting  
00.01.01.02 混植 (1) 和文と欧文とを併用して組版すること。和欧混植。
(2) 異なる大きさの文字を併用して組版すること。異サイズ混植。
(3) 異なる書体を使用して組版すること。異書体混植。
   
00.01.01.03 印字 文字を印すこと。 printing, typesetting 具体的にはタイプライタ及びプリンタを用いて文字などを用紙に印すこと。又は写真植字で文字像などを感光材料に露光することを印字と呼ぶ。
00.01.01.03.01 逆字印字 感光材料に左右逆向きに印字すること。 wrong reading 出力指定で膜面逆字, 膜面正字と向きを指定することもある。
00.01.01.04 採字 原稿に従って文字を選択(又は入力)する作業。    
00.01.01.05 作字 複数の文字の部分を組み合わせて, 文字を合成すること。    
00.01.01.06 横組み (1) 水平方向に文字を配列して組版すること。
(2) 水平方向に文字が組まれた状態。
horizontal composition 現代和文組版においては,通常,左から右に組む。
00.01.01.07 縦組み (1) 垂直方向に文字を配列して組版すること。
(2) 垂直方向に文字が組まれた状態。
vertical composition 現代和文組版においては,通常,上から下に組む。
00.01.02 可読性 文章の読みやすさ。 readability, legibility  
00.01.03 ページ物 基本組みの組み体裁に基づき, 面付けの処理を経て作成されるある程度のページ数のある印刷物。    
00.01.04 端物 単一ページ,又は少数ページからなる印刷物の総称。 job printing 主に広告,伝票,名刺などの商業印刷物に関して用いる。

 

01. 組版要素

番号
用語
定義
対応英語
参考
01.01 ベタ組み 字間を空けずに文字を配置すること(JIS X 4051参照)。 solid(matter)  
01.01.01 ベタ ベタ組みに同じ。 solid  
01.02 字間調整 字間を変化させること。    
01.02.01 アキ (1) 隣接する文字の仮想ボディの間隔。
(2) 隣接する行の, 文字の仮想ボディの間隔。

(1) space
(2) interline space,
line space

字間の場合, 使用する文字に対する相対値として,全角アキ・二倍アキ・二分アキなどと指定する。絶対値として,ポイント単位,歯単位などで指定することもある。文字間のアキ量の指定を,丸,三角,バツなどのシンボルを使用して行うことがある。

01.02.01.01 二分アキ 空き量を,全角アキの1/2とするもの(JIS X 4051参照)。 en space  
01.02.01.02 二分四分アキ 全角の3/4のアキ。    
01.02.01.03 三分アキ 空き量を,全角アキの1/3とするもの(JIS X 4051参照)。    
01.02.01.04 四分アキ 空き量を,全角アキの1/4とするもの(JIS X 4051参照)。    
01.02.01.05 八分アキ 空き量を,全角アキの1/8とするもの(JIS X 4051参照)。    
01.02.01.06 全角アキ 全角分のアキ。 em space  
01.02.01.07* 字間 同一行の隣接する二つの文字の外枠の間隔(JIS X 4051参照)。 letter space  
01.02.01.08* 語間 欧文における単語と単語とのアキ。 word space 標準的な語間の大きさとしては, 使用文字の四分から三分とすることが望ましいが,使用書体,行長などの条件で異なる。
01.02.01.09* ワードスペース 語間に同じ。 word space  
01.02.01.10 和欧間スペース 和欧混植における,隣接する和文部分と欧文部分とのアキ。    
01.02.02* スペーシング 欧文において,字間,語間,又は行間をあけること。 spacing 字配りとも言う。
01.02.02.01 字割り 目次, 表組みなどを組むとき, 各行又は各欄の字取りを決めること。 division of letters  
01.02.02.02* レタースペーシング 主に欧文において,字間にアキを入れること。 letter spacing  
01.02.02.03 アキ組み 字詰め方向における文字と文字との間に一定のアキを入れる組み方。   俳句などの組版に多い。
01.02.02.04 均等割り 字間を均等に空け,文字列の両端を行頭と行末にそろえること(JIS X 4051参照)。    
01.02.02.05 分離 文字と文字との間に,規定以上のアキを入れること。    
01.02.03* 詰め組み 正規の送り(ベタ)よりも詰めて組む方法。 kerning, tracking 均等詰め・字面詰め・食い込み詰めなどがある。印刷媒体の宣伝・広告関係でよく使う。ツメ,詰め印字,詰め打ちとも言う。
01.02.03.01 仮名詰め 仮名に隣接する字間を規定量より少なくすること。 Kana-tracking, Kana-kerning 代表的なものに,均等詰め,文字のもつ字幅に合わせた送りをする詰め方がある。
01.02.04 送り 文字の基準点から次の隣接する文字の基準点までの距離。   字詰め方向を字送り,行方向を行送りと言う。
01.02.04.01 (文)字送り 文字の基準点から字詰方向に隣接する次の文字の基準点までの距離。    
01.02.04.02 空送り 印字をせず,位置だけを移動すること。    
01.03*   line  
01.03.01 行方向 行送りの方向。 line progression 和文においては縦組みであれば右から左,横組みであれば上から下へ向かう方向。
行送り方向とも言う。
01.03.01.01* 改行 行を改めること。 line feed 改行の発生には次の場合がある。
(1) 字詰めがいっぱいになったことによる次行への移行。
(2) 段落の終了による新たな行からの文章の開始。
(3) 行数を増やす場合などに,意図的に段落を作り,文末の適当な箇所で行を改める。
01.03.01.01.01 強制改行 行の途中で行を改めること。   文章が字詰めいっぱいになる前に,後続の文を次の行から始めたいと言う意図による改行。
01.03.01.01.02 行割り 行を分割すること。    
01.03.01.01.03* 行送り 行の基準点から次の行の基準点までの距離。 line feed  
01.03.01.01.04 行ピッチ 行送りに同じ。    
01.03.01.01.05 行間 隣接する行の最も大きな文字サイズの文字の外枠間の距離。通常,行間は,行の幅の1/2倍〜1倍となる(JIS X 4051参照)。 interline space, line space  
01.03.02 行取り 見出し用に確保する行数。     
01.03.03* 行長 行頭から分割可能点までの長さ(JIS X 4051参照)。 line length  
01.03.03.01 字取り 使用文字の一定倍数で組む組み方。   例えば,名簿の組版において名前を6字取りとし,6字に満たない場合は字間を割り,7字以上は変形をかけ6字分の長さに揃える。
01.03.03.02 倍取り 字取りに同じ。    
01.03.03.03 字詰め 1行の文字数。 spacing-in  
01.03.04 行頭 一つの行の始まる位置(JIS X 4051参照)。    
01.03.04.01 天付き 字下げをしないこと。   欧米では書き出しは字下げしないで,改行の際だけ字下げをすることが多い。
01.03.04.01.01 行頭における天付き 約物等を調整して,行頭に目視上そろえること。   行頭にきた括弧類は,二分,三分又は四分の物を使い,隣接する行頭をそろえる。
01.03.04.02 頭付き 天付きに同じ。    
01.03.04.03 字下げ 行頭の位置を行末方向に移すこと(JIS X 4051参照)。 indentation  
01.03.04.04 インデント 行頭の字下げ。 indent 書き出し又は段落を示すために行う。和文の場合は,1字だけ字下げすることが多く,欧文の場合は,書体及び行長を考慮して字下げの量を決める。
01.03.04.05 字下がり 見出しの頭を本文の行頭より下げること。    
01.03.04.06 全角下がり (1) 見出しの頭を本文より全角分だけ字詰め方向に移動した位置。
(2) その位置から見出しを組み始めること。
   
01.03.04.07 字上げ 行末の位置を行頭方向に移すこと(JIS X 4051参照)。    
01.03.04.08* ハンギングインデント 行頭を組み幅からはみ出すこと。 hanging indent 段落を明確にするための字下げと同じ効果をもつ。
01.03.05 頭出し (1) 行頭又は文の始めに付ける黒丸,黒四角などのしるし物。
(2) 行頭に(1)のしるし物を付けること。
  改行を用いずに段落などを識別しやすくする。装飾的目的で使用する場合も多い。
01.03.06 行末 一つの行の終わる位置(JIS X 4051参照)。    
01.04 そろ(揃)え      
01.04.01 文字ぞろえ      
01.04.01.01 上ぞろえ (1) 縦組みの場合の行頭ぞろえ。
(2) 文字の上辺をそろえる組み方。
  異サイズ混植において用いることが多い。
01.04.01.02 下ぞろえ (1) 縦組みの場合の行末ぞろえ。
(2) 文字の下辺をそろえる組み方。
  異サイズ混植において用いることが多い。
01.04.01.03 左ぞろえ (1) 横組みの場合の行頭ぞろえ。
(2) 文字の左辺をそろえる組み方。
  異サイズ混植において用いることが多い。
01.04.01.04 右ぞろえ (1) 横組みの場合の行末ぞろえ。
(2) 文字の右辺をそろえる組み方。
  異サイズ混植において用いることが多い。
01.04.01.05 中心ぞろえ 文字又は文字列の中央をそろえる組み方。 centered 中央文字ぞろえ,中ぞろえ,中心組み又はセンタリングとも言う。
01.04.02* 行頭行末ぞろえ 行頭及び行末をそろえる組み方。 justification 行ぞろえ又は頭末ぞろえとも言う。
01.04.02.01 行ぞろえ 行頭行末ぞろえに同じ。    
01.04.02.02 リーダぞろえ 語間にリーダを入れて,行頭行末をそろえる組み方。    
01.04.03 行頭ぞろえ 文字列の最初の文字を行頭の位置に合わせること(JIS X 4051参照)。    
01.04.04 行末ぞろえ 文字列の最後の文字を行末の位置に合わせること(JIS X 4051参照)。    
01.04.05 中央ぞろえ 文字列の中央を,行頭と行末との中央の位置に合わせること(JIS X 4051参照)。    
01.04.06 ベースラインぞろえ 欧文における, ベースラインをそろえる組み方。    
01.04.07 箱組み コラムなどを, 本文組みとは別に四角に組むこと。罫巻きをすることが多い。 box  
01.05 欧文処理 和文組版にはない,欧文組版固有の組版方法。   行頭行末を揃えるためのジャスティフィケーション処理,単語を分けるときのハイフネーション処理などがある。
01.05.01* ジャスティフィケーション 欧文組版において,行頭及び行末をそろえて組版すること。 justification DTPでの和文組版では,字間を調整して行頭行末をそろえる機能をジャスティフィケーションと呼ぶ場合がある。
01.05.02* ハイフネーション 欧文組版において,2行に分かれた単語の分割部分へのハイフンの挿入。 hyphenation  
01.05.02.01 ロジカルハイフネーション アルゴリズムに基づくハイフネーション。    
01.05.03* トラッキング 主として欧文組版において,既定値の送りピッチを全体に変える機能。 tracking 同一書体でも文字サイズを拡大して組むと,字間が広くなりすぎる。これを補正するためにトラッキングを使って全体の字間を詰める。反対に文字サイズを縮小した場合は,字間が詰まりすぎるため広げて組版することがある。
01.05.04* ハンギングパンクチュエーション (1) カンマ,ピリオドなどの約物が行頭にくる場合,それを前行の行末からはみ出して組版すること。
(2) ぶら下げ組みに同じ。
hanging punctuation  
01.05.05 ラグ組み (1) 規定の字詰めを用い, 行末をそろえない組み方。
(2) 欧文組版でジャステフィケーションを行わない組み方。
ragged style ラギッドライト,フラッシュレフトとも言う。
01.05.05.01* ラギッド ラグ組みに同じ。 ragged  
01.05.05.02* ラギッドライト 欧文組版において,行頭をそろえ,行末をそろえない組み方。 ragged right  
01.05.05.03* ラギッドレフト 欧文組版において,行末をそろえ,行頭をそろえない組み方。 ragged left  
01.05.05.04* フラッシュライト ラギッドレフトに同じ。 flush right  
01.05.05.05* フラッシュレフト ラギッドライトに同じ。 flush left  
01.05.06 イニシャル組み 章の文頭を強調したり,飾るために,花文字,大きな文字,スモールキャピタルなどを使用する組み方。
drop initial, drop cap
 
01.05.07* オールキャプス 欧文組版において,すべての文字を大文字で組むこと。 all caps  
01.05.08* ウイドウ 欧文組版において,段落の最終行が行長のおよそ1/3以下である状態。 widow この状態をできるだけ避けるよう調整することが多い。
01.05.09* オーファン ウイドウが段又はページの最初の行に生じた状態。 orphan 極めて不体裁なこととされ,絶対に避けなければならない。
01.05.10* グリーキング (1) カンプの組み体裁見本作成,又は欧文書体の組み見本作成のときに使用する,特に意味をもたない文章。
(2) DTPでは,画面の書き換え時間を短縮するため,必要としない文字又は画像部分をグレーに置き換えること。
greeking ギリシャ語が難解なところから,意味をもたない言葉を綴ることをグリーキングと言うようになった。
01.06 禁則 組版上してはいけないことを決めた規則。    
01.06.01 禁則処理 (1) 文章の行頭, 行末にきてはおかしい特定の文字(句読点, 括弧等)を自動的に前行の行末に繰り上げたり, 次行の行頭に繰り下げたりする機能(JIS B 0191参照)。
(2) 禁則条件を満足するように文字の配置を決めること(JIS X 4051参照)。
   
01.06.01.01 行頭禁則 主に和文組版において,行頭に特定の文字を置くことを禁止する規則。    
01.06.01.02 行末禁則 主に和文組版において,行末に特定の文字を置くことを禁止する規則。    
01.06.01.03 行割り禁止 行をまたがって文字列などを分離させることの禁止。   分割禁止とも言う。
01.06.01.04 分離禁止 文字列などを分離させることの禁止。    
01.06.01.05 追込み 禁則処理の一つの方法であって,字間を詰めて行中の文字数を多くすること(JIS X 4051参照)。    
01.06.01.06 追出し 禁則処理の一つの方法であって,字間を広げて行中の文字数を少なくすること(JIS X 4051参照)。    
01.06.02 ぶら下げ組み 行長をはみだして1文字の句読点を入れること。 hanging punctuation 行頭禁則文字である句読点の例外的処理方法。ぶら下がり,ぶら下げとも言う。和文組版では点,丸,カンマ,ピリオドだけをぶら下げ組みすることが許される。
01.07 添え字 文字のそばにつける上付き文字又は下付き文字(JIS X 4051参照)。 superscript, subscript, superior, inferior  
01.07.01 肩付き 上付き文字。    
01.07.01.01* インフェリアキャラクタ 下付き文字。 inferior characters  
01.07.01.02* スーペリアキャラクタ 上付き文字。 superior characters  
01.07.02* アンダライン 横組み組版において,文中の文字又は文字列の下に,注意を促すことを目的として引いた線。 under line  
01.07.02.01* 下線 アンダラインに同じ。 under line  
01.07.02.02 傍線 縦組み組版において,文中の文字又は文字列のわき(脇)に,注意を促すことを目的として引いた線。    
01.07.02.03 傍罫 傍線に同じ。    
01.07.03 圏点 文字のそばに付けて注意を促したり, その部分を強調したりするしるし(JIS X 4051参照)。    
01.07.04 傍点 (1) 圏点に同じ。
(2) 漢文の訓点。
   
01.07.05 打ち消し 文字又は文字列の抹消のために,それらの文字の中心に引く線。 cancel, strike out  
01.07.06 親文字 ルビ,添え字又は圏点がつけられたとき,その対象となる文字(JIS X 4051参照)。    
01.08* ルビ 文字のそばにつけて文字の読み方, 意味などを示す小さな文字(JIS X 4051参照)。 ruby  
01.08.01 肩付きルビ 縦組みにおいて,親文字の右肩につけるルビ。    
01.08.02 中付きルビ 縦組みの場合は親文字の天地中央に,横組みの場合は親文字の左右中央に付けるルビ。    
01.08.03 下付きルビ 横組みで親文字の下に付けるルビ。    
01.08.04 グループルビ 語全体に均等間隔に付けるルビ。   2行に分離することは避ける。対語ルビ,均等ルビとも言う。
01.08.05 モノルビ 親文字に対応して1字ごとに付けるルビ。   対字ルビとも言う。
01.08.06 総ルビ すべての漢字にルビを付けること。    
01.08.07 パラルビ 文中の特定の文字だけにルビを付けること。    
01.08.08 割りルビ 本文行中に,本文の半分の大きさの文字でルビを付けること。   通常は前後をパーレンで囲む。 ルビ割り注とも言う。
01.09 表裏の2ページ。   和綴じにおける二つ折りの刷本。
01.10* ノンブル 印刷物の各ページの順序を示す番号。 page number  
01.10.01* ページナンバ ノンブルに同じ。 page number  
01.10.02 通しノンブル 前付ページから本文ページまで連続してノンブルを付けること。又はその番号。    
01.10.03 追いページ 印刷物に一貫して付けるページ番号。    
01.10.04 追い丁 (1) 分冊して刊行されるそう(叢)書などで,分冊毎ではなく全体を通して付けるページ番号。
(2) 追いページに同じ。
serial pagination  
01.10.05 別ノンブル (1) 前付ページ又は後付けページと本文ページとに別のノンブルを付けること。
(2) 本文ページとは異なるノンブル。
   
01.10.06 隠しノンブル ページ数には加えるが,特定のページに対して意図的にノンブルを印刷しないこと。 blind folio 特定のページは,白ページ,中扉,裁ち切り写真のページなど。
01.10.07 逆ノンブル 印刷物の最後のページからノンブルを付けること。    
01.10.08 仮ノンブル 既に組み上がっている部分の散逸又はページの入り乱れを防ぐため,章・節単位などのある程度まとまったページごとに仮に付けるノンブル。   原稿がすべてそろっていない場合,そろっていても全ページの割付け,組版などができていない場合などに用いる。
01.10.09 改丁 本の章,部などの変わり目で,丁を変えること。   必ず奇数ページ起こしとなり,場合によっては改丁前の最後のページが裏白(白紙)となる。別丁起こしとも言う。
01.10.10 逆丁 (1) 縦組み右開きの本において,横組みの索引,年表などを後付けとして付加することによって,左開きとなった部分。
(2) 逆丁部分に付けられた,本文部分と順序が逆になったページ番号。
   
01.10.11 別丁 本で, 本文紙とは異なる用紙を用いて挿入したページ。 inset  
01.11 ページの版面外に記載された書名・章名・節名など。 head line  
01.11.01 片柱 柱を奇数ページだけに入れること。    
01.11.02 両柱 柱を奇数・偶数両ページに入れること。    
01.12* ページ 本などを構成する1枚の紙の片面。 page  
01.12.01* ページネーション (1) ページ付け。
(2) ページごとに組版をまとめ上げ, 出力すること。
pagination 図,表なども含めて完全な形で出力することをフルページネーションと言う。
01.12.01.01 丁付け 本にノンブルを付けること。 pagination 右開きの本では右ぺージが偶数,左ページが奇数になり,左開きの本では左ページが偶数に,右ページが奇数になる。
01.12.02 組み体裁 組版したときの組み上がり状態。    
01.12.02.01 基本組み 本の1ぺージ内の版面, 柱, ノンブル(ページ番号)などを含めた基本的な組み体裁。   同一の本の中では統一される。
01.12.02.01.01 版面 本の1ページ内の, 周囲の余白を除いた部分の印刷面。柱, ノンブルは版面には含めない(JIS X 4052参照)。    
01.12.02.01.02 本文組み 本文の組版。   基本組み体裁によって規定される。
01.12.02.02 組み方向 縦書き又は横書き(JIS X 4052参照)。    
01.12.02.02.01 字詰め方向 1行の中で,一つの文字から次の文字へと続く方向(JIS X 4052参照)。    
01.12.02.03* マージン ページの版面(はんづら)以外の空白部分。 margin  
01.12.02.03.01* 余白 マージンに同じ。 margin  
01.12.02.03.02 小口 本のページの綴じていない3辺。 edge 上辺を天小口,下辺を地小口といい,綴じと反対側の辺を前小口又は単に小口と言う。 
01.12.02.03.03 上小口 ページ上部の小口。   天小口とも言う。
01.12.02.03.04 前小口 綴じと反対側の小口。   単に小口とも言う。
01.12.02.03.05 下小口 ページ下部の小口。   地小口とも言う。
01.12.02.03.06 罫下[地] ページの下部の裁ち切り線と版面との間の余白。 foot  
01.12.03 見開きページ 本などを開いたときの両方のページ。    
01.12.04 対向ページ 見開きページにおける左ページに対する右ページ,又は右ページに対する左ページ。     
01.12.05 改ページ (1) あるページ上への印刷を終了し, 次のページの先頭からの印刷を再開する機能(JIS X 0023参照)。
(2) 奇数ページ・偶数ページに関わらず,ページの途中であっても次の見出しなどを次のページから新しく組み始めること(JIS X 4052参照)。
page feed  
01.13 注の組版      
01.13.01* 割り注 本文中で,複数行に割書きした注釈。割注には,割書きを囲む括弧類を含む(JIS X 4051参照)。 inline note  
01.13.01.01 振り分け 1行中で本文と同じ大きさの文字を使って, 何行かに行を分けること。    
01.13.02* 脚注 本文の下に組む注釈。 footnotes 出典,参考書,参照ページなどを示すことが多い。
01.13.03 後注 本文の編・章・節の最後又は巻末にまとめて入れる注釈。   本文中の該当する語句に記号などを打ち,対応を示す。
01.13.04 頭注 本文の上部に組む注釈。    
01.13.05* 傍注

ページ内の前小口寄り欄外に組まれた注釈。

side note 縦組みの場合は奇数ページの前小口寄り,横組みの場合は左右両ページの前小口寄りに入れる。最近では傍注とほぼ同じ役割をする注釈を,ページのノド寄りに入れている本もある。
01.13.06 補注 注で述べた事柄をさらに補うために,別にまとめた注。    
01.14* 1ページの組版面を均等に分割した1区分。 column 二つに分割することを2段組み。三つを3段組みと言う。図版・表・写真などの大きさは,この段の単位で考えることが多い。
01.14.01 段間 段組の段と段との間の空き(JIS X 4052参照)。    
01.14.02 段組み 連続する1系列の文章を1ページの中で二つ以上の段に分けて組む方法を指す。2系列以上の文章を平行して組む場合には段組についての指定は適用しない(JIS X 4052参照)。 column composing  
01.14.03 改段 段組で段の途中にも関わらず,次の見出しなどを新しい段の始めから組むこと(JIS X 4052参照)。    
01.14.03.01 強制改段 段の途中で段を改めること。   文が1段の行数いっぱいにならずに終わり,新たな章・節を次の段から始めたいなどの意図に基づく。
01.14.04 段数 ページ内に組まれた段の数。    
01.14.05 段抜き 段組みのページにおいて,見出し,図版などを複数段にまたがって組むこと。 full measure  
01.14.06 段幅 段を構成する行の最大長。   行長に同じ。
01.15* タブ 設定した位置にカーソルを移動させる機能。 tab  
01.15.01 タブ組み タブを使った組版。    
01.16* 罫線 (1) 図表などに使用される横又は縦に引く線(JIS B 0191参照)。
(2) 複数の項目を二次元的に区切るために用いるもの。横罫及び縦罫がある。罫線は,実線, 破線などの罫線種,罫線の太さ,可視, 不可視などの罫線属性をもつ(JIS X 4051参照)。
rule  
01.16.01 表罫 0.1mm程度の太さの細罫。 thin line  
01.16.02 細罫 細い罫線。 fine face rule  
01.16.03 中太罫 表罫と裏罫との中間の太さの罫線。 medium rule 0.25mm程度の太さ。
01.16.04 裏罫 0.4mm程度の太さの太罫。    
01.16.05 太罫 太い罫線。 thick rule  
01.16.06 かすみ(霞)罫 横方向に垂直,縦方向に水平な短線を連続的に並べた罫線。
斜め線を含む場合もある。
 


図1.1 かすみ(霞)罫

図1.2 斜めかすみ(霞)罫

01.16.07 子持罫 表罫1本と裏罫1本とを組み合わせた罫線。 double rule, shaded face rule  
01.16.08 両子持罫 裏罫の両側に表罫を配した罫線。 treble rule  
01.16.09 双柱罫 表罫2本で構成した罫線。 parallel rule  
01.16.10 三筋罫 表罫3本で構成した罫線。    
01.16.11 波罫 波状の模様をもつ罫線。 wave rule ブル罫とも言う。表裏があり, それぞれを表波線, 裏波線と呼び, さらに裏波線を太波罫とも呼ぶ。
01.16.12 破線 等しい間隔で切れ目のある罫線。 dash rule


図1.3 破線

01.16.12.01 ミシン罫 破線に同じ。 dash rule  
01.16.12.02 鎖線 罫線の進行方向の直線と点とを交互に配置した罫線。   点の数により一点鎖線,二点鎖線などと言う。


図1.4 一点鎖線

01.16.12.03 一点破線 罫線の進行方向の長線と短線とを交互に配置した罫線。  

長線1本と短線2本とを交互に配置した場合の罫線を二点破線と言う。


図1.5 一点破線

01.16.13 リーダ罫 点を連続して並べた罫線。    
01.16.14 無双罫 仮想ボデイと同じ太さの罫線。    
01.16.15 飾り罫 装飾的な形状をもつ罫線の総称。  ornamented rule  
01.16.15.01 角付き飾り罫 角専用の罫線素片をもつ飾り罫。    
01.17 罫囲み (1) 文字列などを罫線で囲むこと。
(2) 文字列などを罫線によって囲んだ状態。
   
01.17.01 罫巻き 罫囲みに同じ。    
01.17.02 小間 表の小間内容を表示する領域。基本的には,隣り合う2本の横罫と隣り合う2本の縦罫に囲まれた領域からこま余白部分を除いた領域が,一つの小間を形成する。隣接する複数の小間を合成して一つの小間として用いることもある(JIS X 4051参照)。    
01.17.03 コラム 雑誌,新聞などにおいて,ページの一部に罫線又は輪郭で囲んだ短文の記事。 column 新聞では,時評欄,単評欄などを言う。囲み記事又は囲み物に同じ。
01.17.04* 他から独立した組版のための領域。 column  
01.17.05 囲み罫 文字列などを囲んだ罫線。 border, border line  
01.18 表組み 表のための組版。 table work 要素を区別するために罫線を使う場合が多い。
01.19 固定ブロック 特定の場所に,写真,表,図などを入れるために特定の大きさで確保した領域。    
01.19.01 固定空白 固定ブロックに同じ。    
01.19.02 浮動ブロック 文の移動に伴って自動的に移動する写真,表,図などを入れるために確保した領域。   フローブロック ,フローティングブロックとも言う。
01.19.03 かべ 版面の中に入れた段抜きの図版・表などを壁にたとえ,文をその手前で折り返えすこと。   図版・表などを無視してそのまま先へ文を続けることを"とびこし"と言う。
01.19.04 流し込み 組版において, 写真, 箱組みなどのブロックを配置した後の領域に本文を組むこと。 flow  
01.20 大組み 棒組み,見出し,図,写真などを新聞1ページにまとめ上げること。 makeup 表示画面上で行われることが多い。
01.20.01 大ば(貼)り 新聞1ページの紙面を作る工程の中で,本文,写真,グラフなどをは(貼)り込む作業。    
01.21 縦中横 縦書きの行中で,縦書きの字の向きのまま横書きにすること(JIS X 4051参照)。    
01.22* ボディサイズ 文字の大きさ。 body size 仮想ボディ(TR X 0003参照)の高さ。
01.23 字面 字形(TR X 0003参照)の, 空白を含まない実際に印字又は表示される領域。 face 文字の大きさは,仮想ボディの大きさを基準とする。しかし,実際の漢字の塗り潰し領域(標準字面)はそれよりも一回り小さく,仮名は漢字よりも更に一回り小さいことが多い。しかも,個々の文字によってはその塗りつぶ(潰)し領域の大きさも異なる。
01.24 書き文字 手書きの文字。 lettering 書名,タイトルなどにおいて,必要に応じて原稿として用いる。
01.25* キャプション 写真,図版などにそえる簡潔な説明文。 caption 本文の文字より小さい文字で組むことが多い。ネームとも言う。
01.26 異書体混植 同一組版の中で異なる書体を一緒に使用すること。 mixing typeface 欧文組版での混植はみだりに行えない。時代感覚が異なる書体の間又はファミリの異なる書体の間での混植は避けることが多い。
01.27 イラスト(レーション) 挿画,図形,模様などの総称。 illustration  
01.27.01 カット イラストと同義。 cut 昔は小間絵[こま(駒)絵]とも言った。
01.28 コンデンス ファミリの標準となる書体より字幅の狭い1組の欧文書体。 condensed letter  
01.29 エキスパンド ファミリの標準となる書体より字幅の広い1組の欧文書体。 expanded letter 非常に幅の広い字幅をエキステンドと呼ぶことがあるが,エキスパンドとの区別は明確でない。

 

02. 面付け/製本要素

番号
用語
定義
対応英語
参考
02.01 装丁 表紙,外箱,カバー,見返し,扉などに種々の意匠を加え,本の体裁を装うこと。 book design 装てい(幀) 装てい(釘)とも書く。外観だけでなく,材質・加工法を含め,堅ろう(牢)性,耐久性にも配慮する必要がある。
02.02 製本 折丁を綴じあげ,最終形態としての本に仕上げること。 bookbinding  
02.02.01 本製本 折丁を綴じあげ仕上げ裁ちした後,表紙と接着する製本法。 hard-cover binding 表紙が中身より一回り大きく,ちりがある。上製本又は上製とも言う。
02.02.02 上製本 本製本の別称。 hard-cover binding  
02.02.03 並製本 本文及び表紙を同時に化粧裁ちする製本方式。 paper binding 仮製本,並製,仮綴じ又は並綴じとも言う。
02.02.04 仮製本 並製本に同じ。 unbound  
02.02.05 二丁製本 2冊分同時に製本した後で断裁して2冊に分ける製本。 two-up binding  
02.03 折り 製本のために紙を畳むこと。    
02.03.01 網代折り 紙折機による最後の折に際して,背に切れ目を入れて,接着剤の浸透を助ける網代綴じ用の折り方。    
02.03.02 観音折り 左右4ページ分の紙を両側から半分ずつ内側に折り畳む折り方。 gatefold 片側だけから半分に折り畳む折り方を片観音と言う。仏壇の扉に似ていることからこの名がある。
02.03.02.01 観音開き 観音折りされたページを左右両方向に開くこと。   開くと4ページ分の幅となる。主に雑誌の目次,大判の口絵などに用いる。
02.03.03 経本折り 印刷物をジグザグのアコーディオン状に折る折り方。

accordionfold
zigzagfold

経典等に見られる。ジグザグ折り又はアコーディオンフォールドとも言う。
02.04 綴じ 製本のために複数枚の紙の辺をそろえて離れない状態にすること。    
02.04.01 網代綴じ 折丁の背に切り込みを入れ,その切り込みから接着剤を浸み込ませて固める製本方式。 Ajiro binding 日本で発明され,欧米に輸出された製本技術。
02.04.02 糸綴じ 折丁を糸で綴じる製本方式。 thread-stitching, sewing 糸綴じ機を用いて,折丁の背を糸でかがり,連続し,糸の末端は接着剤で固めて綴じる。
02.04.03 かがり綴じ 糸綴じに同じ。    
02.04.04 中綴じ 折丁を表紙ごとに見開いて重ね合わせ,のどの折り目を表紙側から針金で綴じる,並製本の方式。 saddle stitching  
02.04.04.01 逆中綴じ 中綴じと逆の方向から綴じて,表紙は糊付けになる。 saddle stitching  
02.04.05 針金綴じ 針金を用いる仮製本方式。 wire stitching 側面から綴じる平綴じ,見開きの状態でのどを綴じる中綴じなどがある。
02.04.06 平綴じ 針金で折丁を側面から綴じる仮製本方式。 side stitching  
02.04.07 左綴じ のどが左側になるように綴じる綴じ方。   文字が横組みの場合に用い,左開きとなる。
02.04.08 右綴じ のどを右側にして綴じる綴じ方。   文字が縦組みの場合に用い,右開きとなる。
02.04.09 無線綴じ 糸又は針金を用いず,接着剤だけで行う製本方式。 adhesive binding  
02.04.10 和綴じ 片面に印刷した刷本を二つ折にしたものを折丁とし,厚手の表紙をつけ麻糸で綴じる,和装本の製本方式。 Japanese binding  
02.04.11 折本 (1) 長い紙をジグザグに連続して折り,前後に表紙をつけた,和本の製本方式。
(2) 折丁に同じ。
pull out folder (1) 経典の製本に多く使われている。
02.04.12 天のり(糊) 用紙の天側の裁断面を接着剤で固め,表紙を巻込むか,又は共紙を表紙とする製本法。 pad 主に便せん(箋),伝票などに用いる。簡単に切り離すことができる。
02.04.13 天袋 横組みの本において,折の天が袋になっている部分。    
02.04.14 地袋 横組みの本において,折の地が袋になっている部分。    
02.05 丁合い 折丁を順番にそろえ,1冊分ずつまとめる作業。 gathering, collecting  
02.05.01 折丁 裁断前の製本処理単位として折り畳まれた印刷物。 signature, section  
02.05.02 背丁 乱丁, 落丁, 取り込みを防止する目的で折丁の背に印刷する書名,折番号。 signature mark  
02.05.03 背標 乱丁, 落丁, 取り込みを防止する目的で折丁の背に印刷する記号。 nigger head 折丁の順に少しずつずらして印刷し,乱丁などを検出しやすくする。
02.05.04 乱丁防止マーク 背標に同じ。 nigger head  
02.05.05 落丁 一部の折丁が足りないまま,丁合い,製本すること。 defective, missing leaf, pages missing  
02.05.06 乱丁 折丁の順序を誤って,丁合い,製本すること。 incorrect collating, paging disorder, misbound  
02.05.06.01 天地グル 表紙及び中身が上下逆に製本されること。 good bye  
02.05.06.02 取り込み 製本で丁合いの際, 過って同じ丁を複数取ってしまうこと。    
02.06 台割り 1度に印刷するページ数を1単位(1台)とし,総ページを折丁の単位で分割し整理すること。   台割りの1単位は印刷機の種類又は判型によって異なるが,4の倍数(8,16,32ページなど)を1単位とする。
02.06.01 面付け 折丁を正しい順にして,複数のページを配置すること(ISO TR 9544参照)。
imposition  
02.06.01.01 多面付け 1枚の印刷用紙に複数の同じ図柄を印刷可能にする版をつけること。   1度に4枚分印刷することを4面付け,8枚分では8面付けと言う。
02.06.02 面取り (1) 面付けに同じ。
(2) 厚い板紙を芯にして表紙の縁を斜めに削りとった,厚表紙。
beveling (2) の場合,面取表紙とも言う。
02.06.03 頭合せ ページの天側(上部)を向かい合わせた面付けの方法。 head to head 左開きの本に用いる。
02.06.04 罫下合わせ ページの罫下側(下部)を向かい合わせた面付けの方法。 tumble head 右開きの本に用いる。
02.07 仕上がりサイズ 最終製品としての天地左右の寸法。 trim size  
02.07.01 化粧裁ち 印刷された紙を仕上がりサイズに合わせて裁断すること。 trimming  
02.07.02 仕上げ裁ち 化粧裁ちに同じ。 trimming  
02.07.03 裁切り

写真,平網などを断裁時に小口に紙の生地色を出さずに印刷すること

bleed 裁ち落としとも言う。断裁のずれで縁に白線を出さないために,仕上がり寸法より3mm程大きく製版する必要がある。これを断ち切り版と言う。広告ページではブリード,又はブリード版と言う。
02.08 トンボ 見当合わせのための目印。 register mark その形がトンボに似ているので,この名がある。見当合わせトンボ,折トンボ,断裁トンボなどがある。
02.08.01 十字トンボ 垂直に交わる十字状の2本線からなるトンボ。   主にセンタトンボとして用いる。
02.08.02 センタトンボ 仕上がりサイズの中心を示すトンボ。    
02.08.03 折りトンボ 印刷された紙の折り位置を示すトンボ。    
02.08.04 コーナトンボ 仕上がり寸法及び製版寸法を示すトンボ。   角トンボとも言う。
02.09 刷本 印刷が完了し,製本工程又は仕上げ断裁に入る前の印刷物。 printing sheet 刷り紙とも言う。
02.10 (1) 本の厚さ。
(2) 紙の厚さ。
bulk  
02.10.01 束見本 本の束を検討するために,用紙,ページ数などを実物通りに製本した白紙の見本。 dummy  
02.11 紙の目 用紙中の繊維の方向。 direction 紙目とも言う。
巻取り紙は,巻いてある方向が紙目になる。枚葉紙の場合,長辺に平行しているものを縦目(T目),短辺に平行しているものを横目(Y目)と言う。
02.12 裏白 表側だけ印刷して,裏が白紙のままの印刷物。ページ物においては,扉,改丁した対向ページなどが裏白になる。 back no-printing 表面が印刷されていない印刷物は,表白と言う。
02.13 遊び 本の見返しで表紙にのり(糊)付けされていない方の丁。 free end-paper 表紙にのり(糊)付けされている方の丁をきき紙(paste down)と言う。
02.13.01 遊び紙 見返しと扉との間に入れる何も印刷されていない紙。 fly leaf paper 本文用紙と共紙が多いが,高級な本では薄い模様のある和紙又はファンシーペーパを用いることもある。
02.14 間紙 (1) 裏移り防止用に,印刷された紙と紙との間に挟む紙。
(2) とびら,口絵などの別丁類を保護するために貼り込む紙。
(3) 検印, 奥付などの貼り込み用接着剤による汚れを防止するために挟み込む紙。
slip sheet 間紙には,仙花紙などの薄い紙を用いる。
02.15 口絵 本の巻頭などに載せる絵又は写真。 frontispiece  
02.16 のど 本を広げたとき,中央のとじ目がある方向(JIS X 4052参照)。 gutter  
02.16.01 綴じ代 製本上必要な,本ののどの部分の余白。 binding margin  
02.17 紙を目の前に置いたとき,紙面上での紙の上端の方向(JIS X 4052参照)。 head, top edge  
02.18 (1) 本のページ面のレイアウトにおける,下部の余白。
(2) 本の下部。
tail edge 罫下(けした)とも言う。
02.19 天地 (1) 印刷物の上下方向。
(2) 印刷物の上下方向の長さ。
   
02.20 本の綴じてある側の表紙の部分。 back 背表紙とも言う。
02.20.01 背文字 本の背にはく(箔)押し又は印刷した文字。 back title  
02.21 花布 本製本で折丁の背の部分と,表紙材の背の部分との間に付ける小さな布。 head band  
02.22 しおり ページにはさみ目印とするために本の背には(貼)り込んだひも。 book mark スピン,リボンとも言う。本の間に挟み込む目印を一般にしおりと言う。
02.23 つめ(爪) 辞典などで検索などに使うために,小口側に付けるしるし。    
02.24 はく(箔)押し 本の表紙などに金属はく(箔)又は色はく(箔)で,題字又は模様を型押しすること。 hot stamping  
02.25 (1) 本製本において,折丁と表紙との接合を良くするため,折丁ののど側の角をはみ出させた部分。
(2) 紙の裁断していない縁。
   
02.26 ちり 本の表紙の中身より出張っている部分。 square margin 本文の保護と体裁上の配慮とから付けられる。

 

03. 製版

番号 用語 定義 対応英語 参考
03.01* レイアウト 組版要素をページ内に適宜に配置すること。 layout  
03.01.01 割り付け レイアウトに同じ。 layout  
03.01.01.01* ラフレイアウト レイアウトの初期の段階において,大まかに行うレイアウト。 rough layout  
03.01.01.02* ラフスケッチ デザインの過程で,構成,造形アイデアなどをまとめたり,検討するために描く概略的なスケッチ。 rough sketch  
03.01.01.03* カンプ 発注者に提示し了解を得るための,刷り上がりイメージに近い状態の見本。 comprehensive layout コンプ又はコンプリヘンシブとも言う。
03.01.01.03.01 デザインカンプ カンプに同じ。    
03.01.02* グリッド レイアウトを行うため,ページを一定のデザイン構想に基づいて格子状に分割した仮想の線。 grid 実際のページレイアウトはレイアウト用紙上に行う。グリッドはこのレイアウト用紙に印刷される。この線に従い,文字,写真,図版などを整然と配置する。
03.01.03 渡り 右ページの版面右端から左ページ版面左端までの長さ。    
03.02 台紙 版下を作成するための土台となる厚紙。 pasted board  
03.02.01* ペーストアップ 手書きの絵,印画紙などを台紙には(貼)り込むこと。 paste-up  
03.03* トリミング (1) 写真を印刷原稿とする場合,デザイン寸法と使用部分とを指定すること。
(2) (1)の指示に従い,写真原稿の一部を抜き出し配置すること。
trimming  
03.03.01* ハッチング (1) 版下などでつける陰影であって, 多くの場合, 右上から左下へ45゜の傾きで引いた細い平行線。
(2) トリミングされた写真原稿の不要部分に書き込まれた斜線,又はそれを書き入れること。
(3) 立体表現のために施された平行な陰影線。
hatching 線影, ハッチとも言う。
03.04 製版 印刷の工程の一つで, 文字, 絵, 写真などの原稿を基に印刷の版を製作すること。 prepress  
03.05 刷版 (1) 本刷りのために印刷機にかける版。
(2) 本刷りのための版を作成すること。
machine plate, plate making  
03.06 原版 (1) 最初に仕上げた版。
(2) 複製版のもとになった版。
original plate  
03.07 集版 文字・図形・画像などの版面構成要素を指定に従って位置決めし, ページ又は面積単位にとりまとめること(JIS Z 8123参照)。 page up, stripping  
03.08 印画紙 紙を支持体とし,主にハロゲン化銀を乳剤として塗布した感光材料。 photographic paper  
03.09 ストリッピングフィルム 乳剤面の膜をベース面からは(剥)がせる修正用製版用フィルム。 stripping film  
03.10.01* 陰画 被写体と明暗が逆転した写真画像。 negative ネガ又はネガティブとも言う。
03.10.02 陽画 被写体と同じ明暗をもつ写真画像。 positive ポジ又はポジティブとも言う。
03.11 写真版 写真製版法を利用して作った印刷用の原版。 photoengraving  
03.12 反射原稿 光が原稿に当たり,その反射光で画像が認識される原稿。 reflection copy  
03.12.01 透過原稿 光が原稿に当たり,その透過光で画像が認識される原稿。 transparency  
03.13 線画 階調のない図柄。 line drawing 写真製版においては, 文字も線画の一種として扱う。
03.13.01 線画原稿 線画からなる原稿。    
03.14 アタリ レイアウト指定,版下などで,本文,見出し,図版,写真などの位置及び大きさを指定するための線。 register mark 通常,0.1mm程度の線幅を使う。
03.14.01 アタリ罫 (1) アタリに同じ。
(2) 当該罫線がアタリであり,印刷されない罫であることを示す指定用語。
  (2)に関して,アタリを印刷する場合はケイイキ,イキケイなどと指定する。
03.15   color  
03.15.01 カラーキャリブレーション カラー製版出力を基準範囲内に保つために,装置のパラメタを調整すること。 color calibration  
03.15.02 色(インキ)見本帳 印刷時の刷り色指定用の色見本。 color swatch アート紙などに製品としてのインキを塗布し,色番号をつけてバインダ式に綴じたものが多い。カラーチップとしてちぎって使用する。プロセスインキの掛合せによる色見本は, カラーチャートと言って区別する。
03.15.03 カラーチャート (1) 絵具,カラーインキなどの色見本帳の一覧。
(2) プロセスカラーチャートの短縮表現。
color chart 色見本帳とも言う。印刷インキの掛け合わせによる色見本の一覧を指す。
03.15.04 色合せ 印刷する色を原稿の色と同一にすること。 color matching  
03.15.04.01 色補正 画像の色を調整すること。 color compensating 色合わせとも言う。
03.15.05 色濃度 色画像の濃度。写真,印刷物などの濃淡を表わす量。 color density 光の反射率又は透過率の逆数を常用対数で表わし,それぞれ反射濃度又は透過濃度と言う。
03.15.06 色分解

(1) 写真などの原稿について,イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K),の4色に分解し各版を作ること。
(2) 多色印刷などで,元の色画像又は被写体から二つ以上の原色の明暗を表わす画像を作ること。

color separation  
03.15.07 ダブルトーン 1枚の写真原稿から作成したスクリーン角度の異なる二つの版を用い,2色又は濃淡の異なるインキで刷り重ねる技法。 duotone  
03.15.08 色文字 墨以外に着色した文字。    
03.15.09 色縁文字 周辺部に墨以外の色で着色した文字。    
03.15.10 特色 (1) 基本4色(Y,M,C,K)以外の特別に調合されたインキ。
(2) 基本4色以外のインキを用いた印刷。
spot color  
03.15.11 墨版 墨インキで印刷するための版。 black printer プロセスインキが光学的に理想的な特性をもたず,理論上吸収しなければならない色光を完全に吸収できないので,プロセス印刷において必要となる。
03.16 スキャン 原稿の濃淡を電気信号に変換するための走査。 scan  
03.17 スクリーン
網点,万線などのパタンをつけた透明なフィルム。
screen  
03.18 一定割合の網点が並んでいる均一濃度のパタン。 screen tint 平網とも言う。
03.18.01 網点 凸版印刷又はオフセット印刷において,連続階調をもつ写真などの濃淡を表現する微小な点。 dot  
03.18.02 網かけ 写真又は原画の連続的な濃淡を大小の網点に変換すること。 tint laying 網撮りとも言う。
03.18.03 網伏せ フィルム原版又は版下に平網,万線,砂目,地紋などを入れること。 tint laying 平網は通常,10%単位で指定する。網かけとも言う。
03.18.04 網版 網点による諧調をもった印刷版・フィルム原板の総称(JIS Z 8123参照)。   写真版,網凸版とも言う。
03.19 階調 濃淡の変化の度合い。 gradation  
03.19.01 硬調 (1) 写真のコントラストが強く,濃淡の差が大きい状態。
(2) コントラストが強い写真。
hard gradation  
03.19.02 軟調 (1) 写真のコントラストが弱く,濃淡の差が少ない状態。
(2) コントラストが弱い写真。
soft gradation  
03.19.03 ハーフトーン (1) ハイライト部とシャドウ部との中間部。
(2) 網版。
halftone 半調又は中間調とも言う。
03.19.04 トーンジャンプ 階調表現の50%近傍の不自然な変化。 tone jump  
03.19.05 ハイライト 写真などの最も明るい部分。 highlight 挿絵などの白地に調子のある原稿を製版する活版用の原版をハイライト版と言う。
03.20 線数 網点の密度。 screen ruling 1インチ幅に入る網点の列数で表わすことが多い。スクリーン線数,網線数とも言う。
03.20.01 スクリーン線数 スクリーンの細かさを表わす単位で,1インチ当りに網点が配列されている本数。 screen ruling 1インチ当たりの線数を表すために, lpi(line per inch)を用いることがある。
03.20.02 網目スクリーン 網ネガを撮影するときに用いる製版用スクリーン。 halftone screen, crossline screen 透明部(黒線)と非透明部との幅の比が1:1で,90゜で交わっており,網目状を呈する。
03.20.03 万線スクリーン 細かい平行線で構成された特殊スクリーン。 single line screen 万筋スクリーン又は単線スクリーンとも言う。
03.20.04 砂目 細かい不規則な粒状のスクリーン。 grain  
03.20.05 網角度 網点の並びが垂線となす角度のこと。 screen angle 多色印刷では各色の網点の重なりを防ぎ,モアレの発生を防ぐために角度の異なるスクリーンを使う。一般に各色版の網角度は, 30゜ずつ異なるものを使う。
03.21 反転 ネガ像をポジ像に,又はポジ像をネガ像にすること。 reversing  
03.22 焼込み 感材に原版を露光する際, 露光量を調節して原版のもつ階調を変化させること。 burning-in  
03.23 レタッチ 印刷複製物の色・諧調・キズなどを修正する目的で行う製版工程中の作業(JIS Z 8123参照)。 retouching  
03.23.01 マスキング 製版の工程で, カラーの色調及び階調を指定どおりに実現するために修正すること。 masking  
03.23.02 毛抜き合わせ (1) 隣り合う絵柄をすき間なしに配置すること。
(2) 印刷作業中にわずかな見当ずれを起こしても, 白いすき間が出ることを防ぐために, 薄色, 平網などで絵柄をわずかに大きくして色を重ねること。
butt to the line DTPにおいて, 版ずれの影響を最小限に抑えるために, 色と色とがわずかに重なり合うように画像を調節すること(手集版の毛抜き合わせと同じ処理)をトラッピングと言う。カラー印刷におけるトラッピングとは別の用語。
03.24 見当 印刷,各種加工などにおける位置精度。 register  
03.24.01 見当合わせ (1) 2色刷以上のカラー印刷で,各色版の印刷される位置を合わせること。
(2) 表裏印刷で,表裏の印刷される位置を合わせること。
registering  
03.24.02 見当ずれ 適正位置に印刷されないこと。 out of register  
03.25 ざぶとん 文字の周辺だけ色を変えること。   背景の色との関係で文字が判読し難い場合,文字の周辺部の背景を別の色に変え,読みやすくする。文字より一回り大きくかつ四角く色を変えるので,ざぶとんを敷いたような状態になる。
03.26 白抜き 印刷において,墨又は色印刷の中に,文字又は図柄を白又は紙の生地色にする処理。 transposition  
03.26.01 文字抜き 文字部分を背景と異なる色又は無色にすること。    
03.26.02 文字のせ 背景に文字を重ねること。    
03.27 看板 (1) 管理用の情報として,品名,号数,折,ページ,担当者名などを記入するための,仕上がり寸法の外側にある欄。
(2) 仕上がり寸法の外側に記入された情報。
   
03.28 モアレ 規則性のある複数の線又は点の模様を重ね合わせたときに生じる干渉じま(縞)。 moire カラー印刷などで網点が干渉して起こることが多い。

 

04. 電子文書記述分野

番号 用語 定義 対応英語 参考
04.01* 編集可能形式文書 適切な機能をもつシステムによって,編集及び改訂を行うことに適した形式の電子化文書。 revisable form document 編集可能形式文書は,その明示的な内容に加えて,論理構造を識別するための情報を含むことが多い。
04.01.01* 文書スタイル意味指定言語 SGML(標準一般化マーク付け言語)で表現されたデータ構造の変換を指定し,そのデータ部分にフォーマット処理機能の集合を適用することを指定する言語。JIS X 4153(ISO/IEC 10179)によって規定される。 document style semantics and specification language(DSSSL)  
04.01.01.01* 行外領域 直接には行の一部とはならない領域。 display area  
04.01.01.02* 行内領域 行の一部をなす領域。 inline area  
04.01.01.03* グリフ代替 文字をフォーマットする際に,選択したグリフ又はグリフ列を異なるグリフ又はグリフ列によって置き換える処理。 glyph substitution  
04.01.01.04* 流し込みオブジェクト SGML木フォーマット処理(STFP)における入力文書とフォーマット指定との組み合わせの表現である木のノード。 flowobject  
04.02* 最終形式文書 可視化処理によって表示出力するのに適したフォーマット済み電子化文書。 final form document 最終形式とは,その文書がもはや容易に編集できる形態にはないことを示す。しかし,編集可能形式と最終形式とは相互に排他的な概念ではない。いくつかのデータ様式では,編集可能形式及び最終形式が単一の文書内に同時に存在することを許す。
04.02.01* ページ記述言語 最終形式文書をプログラム言語の概念を用いて装置非依存に記述する文書交換用データ様式。 page description language(PDL)  
04.02.01.01* 標準ページ記述言語 JIS X 4154(ISO/IEC 10180)によって規定されたページ記述言語。 standard page description language(SPDL) SPDLは次の特徴をもつ。階層化された文書構造の概念をもつ,文書作製命令を備える,高水準の作画モデルによって文字列・幾何図形・ラスタ図形を統一的に扱う,フォントを分離している,及び二つの交換様式をもつ。
04.02.01.02* SPDL文書 SPDLを用いて表現した最終形式文書。 SPDL document  
04.02.01.03* 仕上げ命令

文書ページ画像の可視化処理の後に行われる文書の提示(presentation)に影響を与える文書作製命令(Document Production Instruction)。

finishing instruction  
04.02.01.04* 基底フォント 実際のグリフ表現を含むフォント。 base font 複合フォント内では,その木構造上における葉節となる。
04.02.01.05* 複合フォント 階層的に木構造状に構成されたフォントの集まり。 composite font  
04.02.01.06* フォント指標対応表 複合フォント内において,フォント指標をフォント選択子と関連付けるために用いるベクタ。 fontindex map グリフ対応付けの際に使用する。

 

05. 文字種

番号
用語
定義
対応英語
参考
05.01 合印 本文中の文字又は文字列と,それに対応する注との関係を明示するための印。   割注を除くすべての注に用いる。アステリスク,洋数字,漢数字などを用いる。注番号とも言う。
05.02 参照符 文章中で注記する場合,その参照個所に付ける記号。 reference mark 欧文においては,*,†,‡,§,‖,¶などを用いる。
05.03* アクセント記号 主に欧文の文字に付加する,発音のガイドとなる補助記号。 accent mark  
05.04 ホネチックサイン 意味をもたず,音声だけを表わす記号。 音標記号。 phonetic sign, phonetic symbol  
05.05 ダイアクリティカルマーク 同形の他の文字と区別し,特定の音価を与え,強勢を示すために,文字の上下に付加する点・線・弧などの記号。 diacritical mark ダイアクリティックとも言う。
05.06* アッパケース (1) 欧文の大文字,スモールキャピタル,約物などを収容する活字の箱。
(2) 欧文の大文字。
uppercase  
05.07* ロアケース (1) 欧文の小文字, スペース及びクワタを収容する活字の箱。
(2) 欧文の小文字。
lowercase  
05.08* スモールキャピタル x-ハイトと近似的に等しい高さをもつ大文字字形。 small capital  
05.09* イニシャル 欧文の文章の初めを示す強調された大きな文字。 initial 本の各章の冒頭に装飾書体で組まれることが多い。
05.10 添え字 ある文字に添える文字の総称。   通常は添える対象文字よりも小さい文字を用いる。
05.11 絵文字 文字表現の代わりにその意味を表す図記号。 pictogram 特定の言語に依存せずに情報を伝達できる。ピクトグラム。
05.12 約物 句点類,括弧類,中点類などの記述記号の総称(JIS X 4051参照)。    
05.12.01 全角扱い半角約物 和文組版において,行幅の調整を必要としない場合に全角として扱う半角約物。   大部分の和文用括弧類及び句読点が,これに該当する。
05.12.02 半角約物 字幅が全角の1/2(二分)となるボディをもつ約物。    
05.12.03 括弧類 始め括弧類(文章の中で,ある部分を囲んで他との区別を明らかにするための記号のうち,区切りの始まりを示すもの。)及び終わり括弧類(文章の中で,ある部分を囲んで他との区別を明らかにするための記号のうち,区切りの終わりを表すもの並びに文章の中の切れ目を表すコンマ“,”及び読点“、”。)(JIS X 4051参照)。 parenthesis  
05.12.03.01 パーレン 割りルビなどで使う括弧。 parenthesis  
05.12.03.02* 引用符 語句を引用する際に,その語句の前後をくくる括弧類。 quotation mark 通常は,‘ ’及び“ ”を用いる。引用のために,括弧を用いることも多い。
05.12.03.03 受け 閉じ括弧類の俗称。    
05.12.03.04 起こし 開き括弧類の俗称。    
05.12.03.05 閉じ括弧類 語句をくくる括弧類の中で,くくり終える箇所に用いるものの総称。受けとも言う。   」,』,】,),〕,],},〉,》など。
05.12.03.06 開き括弧類 語句をくくる括弧類の中で,くくり始めの箇所に用いるものの総称。起こしとも言う。   「,『,【,(,〔,[,{,〈,《など。
05.12.04* 句読点 句点及び読点。 punctuation mark 横組みで用いるピリオド及びコンマを含めて言うこともある。
05.12.04.01 パンクチュエーション 句読法。句読点をつけること。 punctuation 欧文の場合はコロン,セミコロン,ダッシュ,ハイフン,感嘆符,疑問符,引用符,パーレン,ブラケットなどもパンクチュエーションの対象となる。
05.13 禁則文字 行頭若しくは行末に位置してはならない文字,又は分割してはならない文字の組を構成する文字(JIS X 4051参照)。    
05.13.01 行割り禁止文字 行割り禁則の条件に該当する文字。    
05.13.02 行頭禁則文字 行頭禁則の条件に該当する文字。   許容の判定基準が,組版様式によって異なる場合がある。
05.13.03 行末禁則文字 行末禁則の条件に該当する文字。    
05.13.04 分離禁止文字 連続した同じ文字間では分割してはならず,延ばし処理によって行を調整する場合でも,連続した同じ文字間を広げてはならない文字(JIS X 4051参照)。    
05.14 繰り返し記号 前接する文字を反復するときに用いる記号。踊り字,大返しを含む。   漢字返し(々),仮名返し(ヽ,ゝ),大返しがある。
05.14.01 大返し 仮名2字分の繰り返し記号。清音用及び濁音用がある。  

大仮名返しとも言う。

図5.1 大返しの例
  

05.14.02 踊り字 同じ文字を続けて表記する場合,次の文字も同じ文字であることを示すためのくり返し記号。   “ヽ”,“ゝ”など。
05.15 地紋 印刷領域の地の一部又は全部に付ける模様。   通常は,ある単位模様を繰り返し敷きつめることによって実現する。

 

06. 文書構成要素

番号 用語 定義 対応英語 参考
06.01 引用文 他の文献から引用した文。 quotation 引用したことを明白にするために「」,“”でくく(括)るか,又は別行に字下げして組む。
06.02 奥付け 本の巻末に付ける,書名,著者名,発行元,発行年月日,版数・刷数,著作権表示などの記載。   欧米の本においては,タイトルページの裏面に記載することが多い。
06.03 クレジット 本の権利関係の表示。 credit line  
06.04 索引 1冊又は複数冊からなる本の中の語句,事項などを抜き出して配列し,それぞれの該当ページ番号を示したもの。 index 配列順はアイウエオ順,ABC順などがある。和文,英文を分けて付けることもある。
06.04.01* インデクス 索引に同じ。 index  
06.05* タイトル 本の題名。 title 見出しをタイトルと呼ぶこともある。
06.06* 段落 行組版処理の処理単位となる一つ以上の文の集まり。段落は,1行又は連続した複数の行からなる(JIS X 4051参照)。 paragraph, paragraph-break  
06.07* 語句, 図表などに加える補助的な説明・解釈。 note 注釈とも言う。頭注,割注,脚注,傍注,後注などがある。
06.08* 表紙 (1) 本の外装(外側の全部)。
(2) 表(おもて)表紙及び裏表紙の総称。
cover 表表紙を“表紙の1”,表表紙の裏面を“表紙の2”,裏表紙を“表紙の4”,裏表紙の裏を“表紙の3”と呼ぶことが多い。
06.09* 付録 本において,本文に関係するが,本文中で扱うことが適当でないものをまとめたもの。 appendix 巻末又は別製本として提供する。規格文書では附属書(annex)と呼ぶことが多い。
06.10 本文 本の, 見出しなどを除いた記述部分。 main body  
06.11 前付 本の本文の前に位置する扉,口絵,献辞,序文,凡例,目次などの総称。 front matter  
06.11.01 口絵 本の巻頭などに載せる絵又は写真。 frontispiece  
06.11.02 見返しの次に位置し,書名,著者名,出版社名などを記した丁又はページ。 title page, inside title 冒頭に前付けとして置かれ,書名,著者名などを記したものを大扉又は本扉と言う。
06.11.03 中扉 本の本文中に挿入される扉。 half title page 編,部,章などの冒頭又は付録の直前に挿入する。
06.11.04 目次 本の内容の見出しを,書かれている順又は分野別に並べて,それぞれの該当ページ番号を示したもの。 table of content  
06.12 見返し 本の中身と表紙とを接合するために,表紙の裏には(貼)りつけられる紙。

end papers, end leaves

見開きになっていることが多い。
06.13 見出し 内容を一目で分からせるために,本文の前に置いた簡潔な語句。 heading 標題とも言う。
06.13.01 大見出し 本・新聞などで,区分の最大のまとまりにつける標題。   本文文字よりかなり大きい文字を用い,目立ちやすくする。段組みの場合には“段抜き見出し”と称する,段を通した見出しにすることが多い。
06.13.02 中見出し 大見出しと小見出しとの中間の区分につけられる標題。    
06.13.03 小見出し 本の最小の標題。   本文と同じか,又は少し大きめの文字を用い,本文より少し太い書体を用いる場合が多い。
06.13.04 添え見出し 大見出しを補足するために,それに添える小見出し。    
06.13.05 袖見出し 添え見出しに同じ。    
06.13.06 同行見出し 見出しの次に改行を入れることなく,文章を続けるもの。吊り見出しともいう(JIS X 4052参照)。    
06.13.07 別行見出し 本文とは別の行に組んだ見出し。    
06.13.08 段抜き見出し 段組みのページにおいて,複数段にわたって組まれた見出し。    


07. 校正・編集

番号 用語 定義 対応英語 参考
07.01* 校正 校正刷りを検査して,必要に応じて訂正を指示すること。 proof reading  
07.01.01 校閲 (1) 一通り校正の済んだ校正刷りに目を通し,誤りの有無を検討すること。
(2) 著者の依頼・承認を受けた第三者が,原稿内容の誤り又は不備などを調べて正すこと。
(3) 新聞制作において,専門の部署によって行われる原稿内容の修正・訂正。
supervision  
07.01.02 初校 最初の校正又は校正刷り。 first revise  
07.01.03 再校 2度目の校正又は校正刷り。 revise この校正刷りを再校紙とも言う。
07.01.04 三校 3度目の校正又は校正刷り。   この校正刷りを三校紙とも言う。
07.01.05 校了 校正の結果,修正・訂正のなくなった状態。 OK  
07.01.06 責了 印刷所などが責任をもって必要な訂正又は変更を行うことを前提とした校了。 OK with change, OK with correction 直しの箇所が少ない場合,又は刷り上げ時期が切迫している場合に行われる。
07.01.07 責任校了 責了に同じ。    
07.01.08 内校(正) 印刷所などが初校などの提出前に校正を行って訂正すること。 reader's proof and revise  
07.01.09 念校 校了の直前に,念のために行う校正。    
07.01.10 素読み 原稿を離れて校正刷りを読みながら行う校正方法。 horsing 記述内容の矛盾,用語又は用字の不統一などを発見しやすい。突き合わせ校正の後に行う。
07.01.11 赤字 校正刷りに対して主として赤い色で修正,訂正を指示する書き込み。 correction mark 赤字の指示には校正記号を用いる。
07.01.12 赤字訂正 赤字と同じ。    
07.01.13 赤字引合せ 初校と再校とを[一般的には第(n-1)校と第n校とを]対比して, 修正されているかどうかを確認し, 未訂正があれば, 再校紙に訂正の指示の赤字を入れること。    
07.01.14 著者校正 著者又は編著者が行う校正。 author's proofreading  
07.01.15 著者直し 著者校正において,著者が原稿と相違する訂正加除を行うこと。 author's alteration  
07.01.16 突合わせ校正 原稿及び校正刷りを,1字1字照合しながら校正する方法。   原稿に校正刷りを押し当てたので押付け校正とも言う。
07.01.17 引合せ校正 校正者による赤字と,別の校正者が同じ校正刷りを閲読して加えた赤字とを対照して,校正漏れの有無を調べること。   精度を要求される出版, 数値を多用する出版において行われることが多い。
07.01.18 読合わせ校正 一人が原稿を音読し,他の一人がその校正刷りを黙読して校正する方法。   音読者は, 記号の種類,段落部の存在などを読み上げる。
07.02* 校正刷り (1) 校正用の印刷物。
(2) 校正用の印刷物を作成すること。
proofreading  
07.02.01* ゲラ (1) 校正用印刷物。校正刷り(1)に同じ。
(2) 植字の終了した組版を入れる浅い盆。
galley  
07.02.02 ゲラ刷り 校正刷りに同じ。
galley proof  
07.02.04 青焼, あい(藍)焼 フィルム原板から特殊な感光紙に密着して焼き付けたもの。   青焼に使われる感光紙は, 紙に鉄塩類などの感光材を塗布したものである。通常, 地の色は薄い青色, 文字及び図版などの像は濃い青色に発色することから青焼と呼ばれる。青写真とも言う。
07.02.04.01 青焼校正, あい(藍)焼校正 青焼による校正。   図版・写真などが指示通りになっているかどうかを確認する。印刷の原板などをコピーし, それを校正する場合も青焼校正と言う。
07.02.05 校了紙 校了の承認を得た校正刷り。 OK sheet  
07.02.06 責了紙 責了の承認を得た校正刷り。 OK proof  
07.03 校正記号 校正の指示を簡略に表記する共通の記号。 proofreader's mark  
07.03.01 イキ 訂正を取り消して元を活かす校正記号。 stet  
07.03.02 誤植 原稿及び原稿指定に対する文字組みの誤り。 misprint  
07.04 色校(正) カラーの校正刷りに対して,主に色表現を検査し,校正すること。   色校正は文字の校正と違って,見る人によって,又は見るときの光源によって,大きな違いを生じる。光源には, 5000Kの標準光を使うことが推奨される。