標準情報(TR)    TR X 0067:2002


DVD-Rディスクのボリューム構造
及びファイル構造

Volume and file structure of DVD Recordable Disc



序文

この標準情報(TR)は,1997年7月にDVDフォーラムから発行されたDVD Specifications for Recordable Disc (DVD-R) - Part 2: FILE SYSTEM SPECIFICATIONS Version 1.0を翻訳し, 技術的内容を変更することなく作成した標準情報(TR)(タイプU)である。


1. 一般

1.1 適用範囲

この標準情報(TR)は,DVD-ビデオ又はDVD-再生専用のプレーヤとの互換性を確保し, コンピュータシステム間の情報交換を支援するために, DVD-R(追記形)ディスク用のボリューム構造及びファイル構造を規定する。

このフォーマットは, JIS X 0607に基づき, TR X 0039及びJIS X 0606に適合しなければならない。

TR X 0039は, データ交換を最大限に行い, JIS X 0607の実装の費用及び複雑性を最小限に抑えるために, JIS X 0607のサブセットを定義する。この標準情報(TR)では, TR X 0039の規定をDVD-Rディスクに適用するために, TR X 0039に対して幾つかの制約及び要件が追加される。

DVD-Rの記録に関する実装指針も, この標準情報(TR)の中で示される。


1.2 引用規定

次の規格等は,この標準情報(TR)に引用されることによって,この標準情報(TR)の規定の一部となる。これらの引用規格のうちで,発効年(又は発行年)を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの標準情報(TR)の規定を構成するものであって,その後の改正版・追補は適用しない。発効年(又は発行年)を付記していない引用規格等は,その最新版(追補を含む。)を適用する。

TR X 0006:1998 DVD-再生専用ディスクのボリューム構造及びファイル構造
 備考 DVD Specifications for Read-Only Disc - Part 2: FILE SYSTEM SPECIFICATIONS version 1.0 が, この規定に対応している。

JIS X 0201:1997 7ビット及び8ビットの情報交換用符号化文字集合
 備考 ISO/IEC 646:1991 ISO 7-bit coded character set for information interchange が,この規格に対応している。

JIS X 0606:1998 情報交換用CD-ROMのボリューム構造及びファイル構造
 備考 ISO 9660:1988 Volume and file structure of CD-ROM for information interchange が, この規格の前の版(1990年版)に対応している。

JIS X 3030-1994 移植可能なオペレーティングシステムのインタフェース(POSIX) 第1部 応用プログラム向けのインタフェース(API) [プログラム言語C]
 備考 ISO/IEC 9945-1:1990 Portable Operating System Interface (POSIX) -- Part 1: System Application Program Interface (API) [C Language] が,この規格に一致している。

JIS X 0607:1996 非逐次記録を用いる追記形及び書換形の情報交換用媒体のボリューム及びファイルの構造
 備考 ISO/IEC 13346:1995 Volume and file structure of write-once and rewritable media using non-sequential recording for information interchange が, この規格に一致している。

The Unicode Standard, Version 1.1, Unicode Consortium

JIS X 0609:1998 情報交換用非逐次記録高密度光ディスクのボリューム構造及びファイルの構造
 備考 Universal Disk Format Specification, revision 1.02, OSTA, 1996-08 が,この規格に対応している。

TR X 0039:2001 ユニバーサルディスクフォーマット(UDF) 1.50
 備考 Universal Disk Format Specification Revision 1.50, OSTA, 1997-02 が, この規定に一致している。


1.3 定義

この標準情報(TR)で用いる主な用語の定義は,次のとおりとする。

一般的な定義については, TR X 0006のDVD規定を参照されたい。

1.3.1 ディスクアトワンス (disc at once) リードイン, 利用者データ及びリードアウトを連続的に書き込む方法。

1.3.2 インクリメンタル書込み (incremental writing) データを追記可能点から複数回, 追加して書き込む方法。

1.3.3 終了化ファイルシステム (finalizing file system) 受領システムによって要求されるファイルシステム。

1.3.4 インクリメンタル書込みファイルシステム (incremental writing file system) インクリメンタル書込みのための作成システムが用いるファイルシステム。

1.3.5 ボーダ領域 (border zone) 終了化以前にDVD-再生専用プレーヤとの交換性を確保するリンク付け領域。

ボーダ領域の各セクタは, 論理セクタ番号及び論理ブロック番地を割当てられる。それは, データ記録可能領域のセクタが, 一意の論理セクタ番号によって識別されることによる。詳細については, DVD-R Book (DVD Specifications for Recordable Disc (DVD-R)) Part 1 Annex Pを参照されたい。

1.3.6 仮想番地 (virtual address) 仮想割付け表エントリによって記述される番地。

1.3.7 仮想割付け表 (virtual allocation table) 仮想割付け表は, それぞれの仮想番地に論理ブロック番地を提供する。例えば, ファイル集合記述子は仮想セクタ0として参照され, ルートディレクトリのICBは仮想セクタ1として参照される。

1.3.8 VAT ICB (VAT ICB) 仮想割付け表を含むファイルを記述するファイルエントリICB。


1.4 記法

一般的な定義については, TR X 0006のDVD規定を参照されたい。

1.4.1 短縮形 (DVD-R部分)

この標準情報(TR)では,次の短縮形を用いる。


2.相違点

2.1 ボリューム空間

TR X 0006のDVD規定を参照されたい。

DVD-Rディスクは, 1タイプの物理ボリュームフォーマットをもつ。このフォーマットは, 1層型のDVD-再生専用ディスクのそれと同じとする。(DVD-再生専用ディスクは, 3タイプの物理フォーマットをもつことができる。)


3.DVD-Rの記録方法

3.1 適用範囲

DVD-Rディスクは, WORMメディアであり, 書込みはできるが, 消去はできない。そこで, メディアをインクリメンタル書込みの方式で扱い保守するには, 特別なファイルシステムが必要になる。UDFファイルシステムは, もともとWORMメディアを含む設計がなされており, DVD-Rに適する。インクリメンタル書込みファイルシステム(IWFS)として, 及び終了化ファイルシステム(FFS)としても, UDFファイルシステムをDVD-Rディスクのために使うことを推奨する。 仮想割付け表(VAT)が提供する高能性のために, UDFのrev.1.50以降(UDF 1.50, UDF 2.00を, それぞれTR X 0039, TR X 0035が規定。)をIWFSとして用いることも推奨する。DVD-Rディスクは, DVD-再生専用ディスクと物理的に互換性があり, 論理的に互換性があれば, DVD-再生専用システムによって読み取ることができる。

IWFSとFFSとの組合せである, 図3.1.1に示す方法の一つを使うことを推奨する。タイプ1は, UDFブリッジファイルシステムを使用する現行のDVD-再生専用システムと互換性のあるディスクを作成することを意図している。この場合, FFSはUDFブリッジであり, UDFブリッジはDVD-再生専用メディアだけで有効であるため, IWFSとは異なる。一方, タイプ2の方法では, IWFS及びFFSが同一ファイルシステムになり得る。

UDFブリッジファイルシステムは, TR X 0006のDVD規定及びTR X 0039に定義されている。


図3.1.1 推奨のDVD-R記録方式

3.2 インクリメンタル書込み

DVD-R用のIWFSとして, UDFのrev.1.50以降を推奨する。

3.2.1 インクリメンタル書込みタイプ1(FFSがIWFSとは異なる)

DVD-再生専用, DVD-ビデオのプレーヤとの互換性を確保するために, タイプ1の方式を使用しなければならない。IWFSとしてUDF rev.1.50を推奨し, FFSとしてUDFブリッジを推奨する。 IWFSの開始ボリューム記述子ポインタは, 論理セクタ512だけに記録しなければならない。 インクリメンタル書込み時には, VAT ICBは, 最後に記録された論理セクタに記録されなければならない。

3.2.1.1 FFSとしてUDFブリッジを用いるための(IWFSとしての)UDF rev.1.50の制約

3.2.2 インクリメンタル書込みタイプ2(FFSがIWFSと同じ)

IWFSがFFSとしても使われるとき, UDF rev.1.50をIWFSとして推奨する。

3.2.2.1 FFSとしてUDF rev.1.50を用いるためのUDF rev.1.50の制約

3.3 ボーダの記録

ボーダ領域は, DVD-RディスクをDVD-再生専用, DVD-ビデオのプレーヤと交換可能にするために, DVD-Rディスクの中に実装される。

次の二つのファイルシステムをDVD-Rシステムで使用することを推奨する。

各ファイルシステムは, ボリューム認識列及び開始ボリューム記述子ポインタを見つける異なる方法をもつ。3.4を参照されたい。

3.3.1 UDF rev.1.50

ボリューム認識列及び開始ボリューム記述子ポインタを見つける特定の方法がある。

3.3.1.1 FFSとしてのUDFブリッジと組み合わせたUDF 1.50への要件(タイプ1)

3.3.1.2 その他の要件(タイプ2)

3.3.2 FFSとしてのUDFブリッジ

UDFブリッジをFFSとして用いるとき(タイプ1)の要件を示す。

3.4 DVD-Rの書込みの組合せ

図3.4.1から図3.4.5は, DVD-Rに関する推奨の書込み方式及び書込み順を用いたディスクイメージ例を示す。括弧内の数字が, 書込み順を示す。


図3.4.1 ディスクアトワンス


図3.4.2 インクリメンタル書込み タイプ1


図3.4.3 ボーダ付きのインクリメンタル書込み タイプ1


図3.4.4 インクリメンタル書込み タイプ2


図3.4.5 ボーダ付きのインクリメンタル書込み タイプ2