標準情報 TR X 0032:2000

段階スタイルシート 水準2(CSS2) 解説



1. 公表の趣旨及び経緯

World Wide Web Consortium(W3C)は, 1996年12月に段階スタイルシート 水準1(CSS1)の勧告(標準情報 TR X 0011:1998)を公表し, HTML文書に対する簡便なスタイル指定の規定として多くの利用者要求に応えた。その発表直後からCSS1の拡張に関する要求が利用者から提示され, それに応えるためにW3Cによって, 段階スタイルシート 水準2(CSS2)が開発されて, 1998年5月に公表された。CSS2の多くの機能は, その後に発表されたウェブブラウザによって実装され, ウェブ文書のスタイル指定のための一つのデファクト標準としての地位を獲得しつつある。

W3Cが1998年6月に公表した同期化マルチメディア統合言語(SMIL) 1.0(標準情報 TR X 0014:1999)は, SMIL基本レイアウト言語に関する代替言語として, CSS2を利用している。

(財)日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)の中に電子出版技術調査研究委員会は, 1998年度の活動としてCSS2の調査研究を行い, その重要性を認識して, 標準情報(TR)として公表することが望ましいことを確認した。1999年度において, 電子出版技術調査研究委員会の作業グループWG1がTR化の作業を担当し, 2000年5月に標準情報(TR)の原案を完成して工業技術院に提出した。

2. 審議中の主要検討課題

2.1 訳語

訳語選定に際しては,標準情報 TR X 0011:1998(CSS1)及びTR X 0033:2000(HTML4.0)と整合を配慮した。この標準情報(TR)で採用した主な訳語の例を解説表1に示す。

解説表1 訳語一覧
原語訳語
@page rule @page規則
absolute positioning 絶対配置
active form field 活性フォームフィールド
active window 活性ウィンドウ
actual font 実フォント
addressing model アドレス付けモデル
adjacent selector 隣接選択子
alternate font 代替フォント
ancestor element 先祖要素
animated voice 動きのある声
anonymous table object 匿名表オブジェクト
ascii art 文字絵
at-keyword @キーワード
atomic 原子的
at-rule @規則
attribute selector 属性選択子
audio rendering 音声レンダリング
auditory icons 聴覚アイコン
Aural Cascading Style Sheet 聴覚段階スタイルシート
aural cue 聴覚キュー
aural rendering model 聴覚レンダリングモデル
author 文書作成者
backslash escape バックスラッシュエスケープ
balloon 吹き出し
base 基数
base font 基準フォント
baseline 基底線
bidirectionality 双方向性
binaural headphone 両耳ヘッドホン
block-level element ブロックレベル要素
blur radius ぼかし範囲
braille tactile feedback device 点字触覚フィードバック装置
browsing ブラウズする
bullet image 箇条記号画像
canvas 描画面
captioned control キャプション制御
carry よく通る
cascading generality 段階の一般性
cascading order 段階順
cell spacing セルスペース空け
collapsing borders model 境界つぶしモデル
color inversion 色反転
color management system 色管理システム
color value 色値
column groups 列集合
combinator 結合子
compatibility zone 互換ゾーン
complex positioning 複合配置
conflict resolution algorithm 競合解決アルゴリズム
content edge 内容辺
crop mark クロップマーク
cross hair 十字線
cross mark クロスマーク
cue property キュー特性
descendant selector 子孫選択子
device gamut 全色域
dithering ディザ化
document language processor 文書言語プロセサ
dominant stem 主要ステム
drop cap ドロップキャップ
dynamic outline 動的輪郭線
em square em平方
embedded object 埋込みオブジェクト
emphasizing element 強調要素
escape sequence エスケープシーケンス
exterior borders 外境界
faux font 擬似フォント
fixed-pitch character grid 固定送り文字の格子
floats 浮動体
font caching フォントキャッシュ
font definition resource フォント定義資源
font encoding table フォント符号化表
font selection mechanism フォント選択機構
font set フォント集合
font specification mechanism フォント規定機構
font stretch フォントストレッチ
font substitution フォント代替
font synthesis フォント合成
font variant フォント異形
forced line break 強制行区切り
forcus outline フォーカス輪郭線
format hint フォーマットヒント
fragment 素片
frameset フレームセット
Gamma Tutorial ガンマチュートリアル
gamut 全域
grads グラッド
graphic environment 図形環境
grid row 格子行
half-leading 半リーディング
handheld devices ハンドヘルド装置
hinting ヒンティング
hourglass 砂時計
inactive link 非活性リンク
inactive window 非活性ウィンドウ
inter-character space 文字間スペース
intonation contour 抑揚輪郭
juxtaposition 並置
language proper 言語適正
leading リーディング
lexical scanner 字句スキャナ
Lex-style regular expressions Lexスタイル正規表現
locally installed font 局所インストールフォント
look and feel 外観及び感覚
lookup table 照合テーブル
mark-up trick マーク付けトリック
master outline 主輪郭線
matching criteria 一致化規準
media group メディアグループ
metric information メトリク情報
minimum audible volume level 最小可聴音量レベル
missing character 欠落文字
monochrome モノクローム
mutable font 可変フォント
mutation axis 変化軸
navigate ナビゲートする
non-inherited property 非継承特性
non-textual entity 非テキスト実体
opening brace 開き括弧
padding edge パディング辺
page breaks 改ページ
paged braille printers ページ付けした点字プリンタ
panner パナー
PANOSE classification metrics PANOSE分類メトリク
pattern matching rules パタン一致化規則
perceived pitch 知覚ピッチ
pixel density 画素密度
pointing device ポインティング装置
pop up ポップアップする
precedence rules 優先規則
preceding element 先行要素
prose 説明
proxy cache プロキシキャッシュ
pseudo-class transition 擬似クラス遷移
reflow 再流し込み
rendering surface レンダリング面
reordering 並べ替え
reparsing 再構文解析
replication restriction 複製制限
resolution 解像度
row and column span 行及び列の差渡し
run-in box ランインボックス
scalable font object 変倍フォントオブジェクト
self-nesting 自己入れ子
separated borders model 分離境界モデル
serifed endings セリフ付き末尾
shadow effect 影効果
shorthand property 簡略記述特性
side bearing サイドベアリング
sidebar 側線
slant 斜体(化する)
slanted 斜体の
sound
sound surround 音場
spatial audio 三次元オーディオ
spatial azimuth 空間方向
speaking property 読上げ特性
speech property 音声特性
stacking context スタック文脈
stressed language アクセント言語
style-enhanced document スタイル強化文書
system color システム色
table layer 表層
target media type 対象メディア型
tile タイル状に敷き詰める
transparency 透明シート
trust management technology 信頼性管理技術
type selector 型選択子
typeface 書体
typesetting 植字
typographic control 活字制御
unicameral 活字ケースが一種類存在する
unified ideographs 統合漢字
Uniform Resource Identifiers 統一資源識別子
Uniform Resource Locator 統一資源ロケータ
Uniform Resource Name 統一資源名
vertical stroke angle 上下ストローク角度
viewport 表示域
visibility 可視性
visual media group 視覚メディアグループ
voice characteristic property 声特徴特性
volume property 音量特性
webmaster ウェブマスタ
writing system 筆記体系

2.2 章・節構成

W3Cの規定は, 必ずしもJIS又は標準情報(TR)の様式には整合していないため, 整合化の対応が必要である。しかしTRの読者が原規定を参照する際の便を考慮すると, 章・節構成はなるべく原規定のそれを保存することが望まれる。そこで, 次に示すだけの修正(章・節番号の変更なし)を施して, この標準情報(TR)を構成した。

2.3 その他の翻訳表記上の規則

原規定は, HTMLを用いて記述されている。この標準情報(TR)も原則として, 原規定のタグを保存することにしたが, 特に次の点に留意した。

3. 懸案事項

翻訳作業の過程で原規定における問題点の幾つかが明らかになっている。W3Cでの次版への検討のために, これらの問題点をW3Cに提出する。

4. 原案作成委員会

この標準情報(TR)原案を作成した(財)日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)の電子出版技術調査研究委員会及び作業グループWG1の委員構成を, それぞれ解説表2, 解説表3に示す。

解説表2 電子出版技術調査研究委員会
氏名所属
(委員長)池田 克夫京都大学
(幹事)小町 祐史松下電送システム株式会社
(幹事)大久保 彰徳株式会社リコー
(幹事)長村 玄株式会社ドキュメント・エンジニアリング研究所
(幹事)高沢 通大日本スクリーン製造株式会社
(幹事)礪波 道夫日本新聞協会(読売新聞社)
(委員)内山 光一株式会社東芝
小笠原 治社団法人日本印刷技術協会
前沢 克俊大日本印刷株式会社
八田 勲通商産業省工業技術院標準部
(工技院)稲橋 一行通商産業省工業技術院標準部
(工技院)永井 裕司通商産業省工業技術院標準部
(オブザーバ)有木 靖人日本新聞協会
(事務局)大川 和司財団法人日本規格協会(2000年3月まで)
(事務局)内藤 昌幸財団法人日本規格協会(2000年4月から)

解説表3 作業グループ WG1
氏名所属
(主査)小町 祐史松下電送システム株式会社
(幹事)内山 光一株式会社東芝
(幹事)大久保 彰徳株式会社リコー
今郷 詔株式会社リコー
奥井 康弘株式会社日本ユニテック
海田 茂ネクストソリューション株式会社
平山 亮金沢工業大学
矢ケ崎 敏明キヤノン株式会社
永井 裕司通商産業省工業技術院標準部
(オブザーバ)浅利 千鶴浅利会計事務所
(事務局)大川 和司財団法人日本規格協会(2000年3月まで)
(事務局)内藤 昌幸財団法人日本規格協会(2000年4月から)