標準情報(TR)    TR X 0032:2000


段階スタイルシート 水準2(CSS2)

Cascading Style Sheets, level 2 CSS2 Specification



序文

この標準情報(TR)は,1998年5月にWorld Wide Web Consortium(W3C)から改訂公表された Cascading Style Sheets, level 2 CSS2 Specification 勧告を翻訳し, 技術的内容を変更することなく作成した標準情報(TR)である。



1 概要

1.0 適用範囲

この標準情報(TR)は,段階スタイルシート,水準2を定義する (CSS2)。CSS2はスタイルシート言語であり,これによって,文書作成者及び利用者が,フォント,スペーシング,聴覚キューなどのスタイルを, HTML文書, XMLアプリケーションなどの構造化文書に付加することができる。文書の内容から文書の表示スタイルを分離することによって,CSS2はウェブ作成及びサイト保守を簡便化する。

CSS2はCSS1に依存し ([CSS1]参照) , すべて妥当なCSS1スタイルシートは妥当なCSS2スタイルシートであって,その例外はほとんどない。CSS2は, メディア固有のスタイルシートをサポートし,それによって文書作成者は 文書の表示を視覚的ブラウザ,聴覚装置,プリンタ,点字装置,ハンドヘルド装置などに合わせられる。この標準情報(TR)は,内容の位置決め,ダウンロード可能なフォント,表組み,国際化の機能,自動カウンタ及び自動番号付け,並びに利用者インタフェースに関連する諸特性もサポートする。

1.1 規定の読み方

この標準情報(TR)は,二種類の読者, つまりCSS文書作成者及びCSS実装者を想定して書かれている。CSSの実装の詳細に必要以上に触れなくても,規定が, 効率よく魅力的でアクセス容易な文書を書くために必要なツールを, 文書作成者に提供する。 しかし,実装者は, 適合する利用者エージェント を構築するために必要なものをすべて知っておくことが望ましい。 規定はCSSの一般的な表示で始まり,終わりに近づくにつれ,次第に技術的で特殊なものになっていく。情報にすばやくアクセスするために,一般的な目次,各節の冒頭にある固有の目次,及びインデクスが, 電子版及び印刷版の両方において容易なナビゲーションを提供する。

この標準情報(TR)の原規定は, 2モードの表示, つまり電子モード及び印刷モードを想定して書かれている。二つの表示は間違いなく類似しているが,読者は幾つかの違いを見出すであろう。例えば,印刷版では明らかにリンクはなく,ページ番号は電子版に現われない。これらの版の間で矛盾が生じる場合は,原規定の電子版を文書の確定版として扱う。

1.2 規定の構成

この標準情報(TR)の構成を次に示す。

2: CSS2への導入
導入は, CSS2を簡単に解説し,CSS2の背景にある設計原則を示す。
3〜20: CSS2参照マニュアル
参照マニュアルの大部分はCSS2言語参照で構成される。この参照は,構文, 特性,特性値などのCSS2スタイルシートに何が含まれるか,及び利用者エージェントが 適合性を主張するために,これらのスタイルシートをどのように解釈しなければならないかを定義する。
附属書:
附属書は, HTML4.0用のスタイルシート例, CSS1からの変更, 実装及び性能の備考, CSS2の文法, 規定及び参考の文献のリスト, 並びに三つの索引, つまり 特性索引, 記述子索引及び一般の索引に関する情報を記述する。

1.3 規約

1.3.1 文書言語の要素及び属性

1.3.2 CSS特性定義

各CSS特性定義は,次のような主要情報の要約で始まる。

'特性名'
値:  正当な値及び正当な構文
初期値:  初期の値
適用対象:  この特性を適用する要素
継承:  特性の継承性
パーセント値:  パーセント値の解釈方法
メディアグループ:  特性を適用するメディアグループ

この部分は,特性に関する妥当な値の集合を指定する。値の型は,次のいくつかの方法で指定してよい。

これらの定義における他の語は,引用符なしに文字通りに現われなければならないキーワードとする(redなど)。 斜線(/)及びコンマ(,)も文字通りに現われなければならない。

値は, 次のとおりに配置してよい。

並置は2重縦線よりも強く, 2重縦線は縦線よりも強い。したがって,次の行は等価とする。

    a b   |   c || d e
  [ a b ] | [ c || [ d e ]]

すべての型,キーワード又は角括弧で括られたグループの後には, 次の修飾子が一つ 続く。

次の例は, さまざまな値の型を示す。

値: N | NW | NE
値: [ <length> | thick | thin ]{1,4}
値: [<family-name> , ]* <family-name>
値: <uri>? <color> [ / <color> ]?
値: <uri> || <color>

初期値

この部分は, 特性の初期値を指定する。特性が継承される場合,これは, 文書ツリーのルート要素に与えられる 値となる。スタイルシートの指定値,継承値及び初期値の間の相互作用に関する情報については, 段階の節を参照されたい。

適用対象

この部分は, 特性が適用する要素をリストする。すべての要素はあらゆる特性をもつ と考えられるが,ある型の要素に対してレンダリング効果をもたない特性もある。例えば, 'white-space'は, ブロックレベル要素だけに影響を与える。

継承

この部分は,特性の値が先祖要素から継承されるかどうかを示す。スタイルシートの指定値,継承値及び初期値の間の相互作用に関する情報については,段階の節を参照されたい。

パーセント値

この部分は,パーセントが特性の値に現れる場合, それをどのように解釈するのがよいかを示す。"N/A"がここにある場合,特性がパーセントを値として受け付けないことを意味する。

メディアグループ

この部分は,特性が適用するメディアグループを示す。 適合性条件は,利用者エージェントは, それがこれらのメディアグループに含まれるメディア型へのレンダリングをサポートする場合には,この特性をサポート しなければならないことを示す。

1.3.3 簡略記述特性

簡略記述特性である特性があり, それは, 文書作成者が単一の特性を用いていくつかの特性の値を指定することを可能にする。

例えば, 'font'特性は, 'font-style', 'font-variant', 'font-weight', 'font-size', 'line-height', 及び 'font-family'をすべて一度に設定する 簡略記述特性とする。

簡略記述フォームから値を省略すると, "欠"特性はいずれもその初期値を割り当てられる。 (段階の節を参照)

この例の,複数のスタイル規則を次に示す。

H1 { 
  font-weight: bold; 
  font-size: 12pt;
  line-height: 14pt; 
  font-family: Helvetica; 
  font-variant: normal;
  font-style: normal;
  font-stretch: normal;
  font-size-adjust: none
}

この記述は, 単一の簡略記述特性を用いて,次のとおりに書き直してもよい。

H1 { font: bold 12pt/14pt Helvetica }

この例では, 'font-variant', 'font-stretch', 'font-size-adjust', 及び'font-style'は, その初期値をとる。

1.3.4 備考及び例

不正な使用法を示す例は,明確に "不正な例"とマーク付けされる。

文書型宣言によって別に指示されない限り,HTMLの例はすべて[HTML40]が規定するHTML4.0の厳密DTDに適合する。

備考は, すべて規定ではない。

例及び備考は,この規定に関するソースHTML内にマーク付けされており,CSS1利用者エージェントが,それらに固有のレンダリングをしてよい。

1.3.5 画像及び長記述

この原規定の電子版にある画像のほとんどに,何を表現するかの "長記述"が添付してある。長記述へのリンクは, 画像の右の"[D]"によって示される。

画像及び長記述は, 規定ではない。

1.4 貢献者

この原規定は,段階スタイルシート及びフォーマット化特性に関する W3C作業グループによって作成された。この原規定の編集者に加えて, 作業グループのメンバを次に示す。
Brad Chase (Bitstream), Chris Wilson (Microsoft), Daniel Glazman (Electricité de France), Dave Raggett (W3C/HP), Ed Tecot (Microsoft), Jared Sorensen (Novell), Lauren Wood (SoftQuad), Laurie Anna Kaplan (Microsoft), Mike Wexler (Adobe), Murray Maloney (Grif), Powell Smith (IBM), Robert Stevahn (HP), Steve Byrne (JavaSoft), Steven Pemberton (CWI), Thom Phillabaum (Netscape), Douglas Rand (Silicon Graphics), Robert Pernett (Lotus), Dwayne Dicks (SoftQuad), 及びSho Kuwamoto (Macromedia)。
彼らの絶え間ない努力に感謝する。

次の数多くの専門家が作業グループに招待され,貢献してくれた。
George Kersher, Glenn Rippel (Bitstream), Jeff Veen (HotWired), Markku T. Hakkinen (The Productivity Works), Martin Dürst (W3C, formerly Universität Zürich), Roy Platon (RAL), Todd Fahrner (Verso), Tim Boland (NIST), Eric Meyer (Case Western Reserve University), 及びVincent Quint (W3C)。

ウェブフォントの節は, Brad Chase (Bitstream), David Meltzer (Microsoft Typography)及びSteve Zilles (Adobe)によってまとめられた。 フォント関連の節には, さまざまな方法で次の方々も貢献された。
Alex Beamon (Apple), Ashok Saxena (Adobe), Ben Bauermeister (HP), Dave Raggett (W3C/HP), David Opstad (Apple), David Goldsmith (Apple), Ed Tecot (Microsoft), Erik van Blokland (LettError), François Yergeau (Alis), Gavin Nicol (Inso), Herbert van Zijl (Elsevier), Liam Quin, Misha Wolf (Reuters), Paul Haeberli (SGI), 及び故Phil Karlton (Netscape).

ページ付けしたメディアの節の大部分は,Robert Stevahn (HP)及びStephen Waters (Microsoft)によって作成された。

Robert Stevahn (HP), Scott Furman (Netscape)及びScott Isaacs (Microsoft)は, CSSの位置決めに主要な貢献をした。

Mike Wexler (Adobe)は, CSS2の新機能の多くを記述する素案の編集者であった。

T.V. Raman (Adobe) は,聴覚段階スタイルシート(ACSS)に中心的な貢献を行い,聴覚による表示の概念は AsTeR(Audio System For Technical Readings)における彼の作業に基づく。 RamanはACSS規定の初期の原案に貢献し,それが現規定を形成した。 HTML 4.0のスタイルシート例の聴覚特性に関する値は,彼の考案による。 Ramanは現在,Emacspeak及びEmacs W3Cブラウザと共に,彼の聴覚デスクトップの上で 日常的にそれらを使用している。Emacsspeak及びEmacs W3C ブラウザは William Perryが作成し,彼は, W3C側で聴覚拡張も実装した。

Todd Fahrner (Verso)は,附属書のスタイルシート例を開発するために, 最新のブラウザ及びこれまでのブラウザを調査した。

html2psの著者である Jan Kärramに謝意を表する。彼は, 原規定のPostScript版の作成に大きな貢献をした。

電子的及び物理的な会議によって,次の方々がCSS2の開発に貢献した。
Alan Borning, Robert Cailliau, Liz Castro, James Clark, Dan Connolly, Donna Converse, Daniel Dardailler, Al Gilman, Daniel Greene, Scott Isaacs, Geir Ivarsøy, Vincent Mallet, Kim Marriott, Brian Michalowski, Lou Montulli, Henrik Frystyk Nielsen, Jacob Nielsen, Eva von Pepel, William Perry, David Siegel, Peter Stuckey, 及びJason White.

www-style@w3.org上での議論は,CSSの主要な課題の多くに影響を及ぼした。 特に次の方々には,議論への参加について謝意を表したい。
Bjorn Backlund, Todd Fahrner, Lars Marius Garshol, Sue Jordan, Ian Hickson, Susan Lesch, Andrew Marshall, MegaZone, Eric Meyer, Russell O'Connor, David Perrell, Liam Quinn, Jon Seymour, Neil St. Laurent, Taylor, Brian Wilson, 及びChris Wilson

CSS2のアクセス可能性の改善への協力に関して, Web Accessibility Initiative Protocols and Formats Technical Review Working Group (WAI PF)に謝意を表する。

Philippe Le Hégaretに感謝する。彼のCSS 妥当性検査ソフトは,正確な例及び注意を要する文法を確実なものとするのに役立った。

Arnaud Le Horsに特に謝意を表する。彼の技術的貢献がこの原規定を作成した。

Adam Costelloは,詳細なレビューの実施によって,この原規定を改善した。

最後に, Tim Berners-Leeに謝意を表する。彼がいなければ,何もできなかったであろう。

1.5 著作権表示

Copyright © 1997 World Wide Web Consortium, (Massachusetts Institute of Technology, Institut National de Recherche en Informatique et en Automatique, Keio University). All Rights Reserved.

W3Cのサイトにある文書は,次のライセンスの下で,著作権の保持者が提供する。 この文書(原規定)又はこの文にリンクするW3C文書の取得,使用及び/又は複写によって,それを行う者は,次の条項及び条件を読み,理解し,それに従うことに同意する。

この文書(原規定)又はこの文にリンクするW3C文書の内容を,任意の目的のために任意の媒体で,報酬又は使用料なしに使用,複写及び配布する許可は,使用するこの文書又はその一部のすべての複写物において,次を含む場合に与えられる。

  1. W3Cの原文書へのリンク又はURI。
  2. 原著者の既存の著作権表示。 それがない場合は,次のフォームの表示。"Copyright © World Wide Web Consortium , (Massachusetts Institute of Technology , Institut National de Recherche en Informatique et en Automatique , Keio University ). All Rights Reserved."
  3. もしあれば,W3C文書の状態。

スペースに余裕がある場合には,この著作権表示の全文を提供することが望ましい。 さらに,この文書の内容又はその一部の実装に従って作成されるどのようなソフトウェア,文書, 又は他の項目若しくは製品に関しても,クレジットは,著作権保持者に帰属しなければならない。

このライセンスに従う修正物又は派生物を作成する権利は, 認められない。

この文書は,"現状のまま"で提供され,著作権保持者は,商業化,特定目的へ適合,権利の非侵害性又は所有権への保証を含む(しかしこれだけに限定しない)どのような表明も保証も,明示的・暗黙的を問わず行わない。 すなわち,この文書の内容が任意の目的に適していること,そのような内容の実装が任意の第三者の特許,著作権,商標又はその他の権利をも侵害しないことの,どのような表明も保証も,明示的・暗黙的を問わず行わない。

著作権保持者は,この文書の使用,又はその内容の実行若しくは実装によってもたらされる,直接的,間接的,特別の又は結果としてのどのような損害にも責任を負わない。

著作権保持者の名前及び商標は,特定の書面化された事前の認可なしに,この文書若しくはその内容を宣伝すること, 又は公然と関連付けることに使用してはならない。 この文書における著作権は,常に著作権保持者にある。