日本工業規格

JIS X 4157:2002    
(ISO/IEC 13250:2000)

SGML応用 — トピックマップ

SGML Applications — Topic Maps



序文

この規格は, 2000年に第1版として発行されたISO/IEC 13250 (Information Technology — SGML Applications — Topic Maps)を翻訳し,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格である。


0. 導入

この規格は,トピックを定義するために使用する情報資源の構造及びトピック間の関係に関し,それら情報の交換可能表現のための標準化された記法を提供する。この規格で定義される記法を使った一つ以上の相互に関係する文書の集合をトピックマップ(topic map) と呼ぶ。一般に,トピックマップが伝える構造情報には,次のものがある。

トピックマップは,多次元のトピック空間を定義する。トピック空間においては,位置がトピックであって,トピック間の距離は,一つのトピックから他のトピックへと到達するのに訪れなければならない途中のトピックの数,及び(存在する場合には)途中のトピックを通る一つのトピックから他のトピックへの経路を定義する関係の種類によって測定できる。

備考 二つのトピックは,関連を通じて結合されてもよいし,出現の共有によっても結合できる。

さらに,情報オブジェクトは,特性と,それらに対して外部で割り当てられる特性の値とをもつことができる。これらの特性を,ファセット型(facet type) と呼ぶ。

備考 ファセット という語は,多面的な磨き上げられたオブジェクトの一つの側面,又は(例えば昆虫の)複眼の一つのセグメントを意味する。この語の比喩的な使用は,ファセットが,情報オブジェクトの集合の特性であって,それら情報オブジェクトの一つのビューを生成するために使用できる,という考え方を表す。

幾つかのトピックマップは,同一の情報資源に関するトピックの構造情報を提供できる。トピックマップ体系は,併合対象のトピックマップを複写又は修正する必要なしにトピックマップの併合を行えるように設計されている。それらの外部的な特質によって,トピックマップは,情報オブジェクトの集合の上への重畳(overlay)又は拡張と考えることができる。

トピックマップの基本記法は,SGMLとする。交換可能なトピックマップは,常に少なくとも一つのSGML文書で構成され,それは,他の種類の情報資源を含む及び/又は参照することがあってもよい。完全に交換可能なトピックマップを含む情報資源の集合は,JIS X 4155:1999のHyTime体系で定義される“境界内オブジェクト集合(Bounded Object Set,以降BOS)”機能を使って指定できる。

World Wide Web Consortiumの勧告である拡張可能マーク付け言語(Extensible Markup Language,以降XML)は,WebSGMLとしても知られるSGML(JIS X 4151:2001)の附属書K(規定)で示されているとおりに,SGMLの部分集合となっているので,XMLをトピックマップの基本記法として使用することもできる。

トピックマップの記法は,SGML体系 として定義され,この規格は,JIS X 4155:1999の附属書A(規定)のA.3,SGML体系形式定義要件 (Architectural Form Definition Requirements,以降AFDR)に適合する形で表現される体系定義文書の形式をとる。トピックマップ記法の形式的定義は,メタDTDとして表現される。


1. 適用範囲

備考 1.は,この規格の適用範囲(scope)を定義する。トピックマップの文脈にだけ適用される,3.16の“有効範囲(scope)”と混同してはならない(1)。

注1  ISOの原規格では,規格の“適用範囲”と,トピックマップの文脈に適用される“有効範囲”との両方に,同じ“scope”を使用しているためにこの備考がついている。この規格を含む一連のトピックマップのJIS規格では,意味を混同しないために,トピックマップの文脈に適用される“scope”は“有効範囲”と訳し,規格の“適用範囲”と区別する。

トピックマップは,情報オブジェクト集合の複数の並行的なビューを可能とする。これらのビューの構造的性質には制約がないとする。それらビューは,オブジェクト指向の手法を反映してもよいし,関係的,階層的,順序付き,順序なし,又はこれらの組合せであってもよい。さらに,無制限の数のトピックマップが,情報資源の与えられた集合の上に重畳されてもよい。

トピックマップは,次のために使用できる。

この規格は,情報オブジェクトの番地付けのためのいかなる方式を要求しないし禁止しない。トピックマップ文書それ自体がこの規格で示される構文を使用しSGML(又はWebSGML)及びHyTimeを使って表現される,という要件以外は,情報を表現するために使ういかなる記法の使用も要求しないし禁止もしない。


2. 引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の一部を構成する。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その最新版(追補を含む)を適用する。

JIS X 4151:2001 文書記述言語 SGML

備考  ISO 8879:1986, Information processing — Text and office systems — Standard Generalized Markup Language (SGML),ISO 8879/Amendment 1:1988, ISO 8879/Cor.1:1996及びISO 8879/Cor.2:1999が,この規格に一致している。

JIS X 4155:1999 ハイパメディア及び時間依存情報の構造化言語(HyTime)

備考  ISO/IEC 10744:1997, Information technology — Hypermedia/Time-based Structuring Language (HyTime)が,この規格に一致している。


3. 定義

この規格のために,次の定義が適用される。

JIS X 4151:2001及びJIS X 4155:1999で与えられる定義が,この規格に適用されなければならない。

3.1 追加テーマ(added themes)

トピックがトピック特質をその内部でもつ有効範囲を構成するテーマの集合に,追加されたトピック。追加テーマは,次の二つの方法で指定される。

    a) その有効範囲が影響を受けるトピックマップ文書の内部では,文書要素の追加テーマ(addthems )属性によって指定される。指定されたテーマは,文書に含まれるトピックリンク及び関連リンクを通じてトピックに割り当てられたすべてのトピック特質の有効範囲に追加される。
    b) その有効範囲が影響を受けるトピックマップ文書の内側又は外側の場合,追加予定テーマ(addthms )の体系形式に適合する要素によって指定される。指定されたテーマは,次を通じて,トピックに割り当てられたトピック特質に追加される。
  • トピックマップ文書全体。これは,tmdocs 属性によって指定される。
  • トピックリンク。すなわち,トピックリンクを通じてトピックに割り当てられた名前特質及び出現特質。これは,cassign 属性によって指定される。
  • 関連リンク。すなわち,関連リンクを通じてトピックに割り当てられるとおりの,トピックが関連において果す役割。これは,cassign 属性によって指定される。
  • これらの任意の組合せ。

3.2 関連(association)

3.22“トピック関連”を参照。

3.3 関連リンク(association link)

この規格が定義する関連リンク体系形式に適合するハイパリンク要素。5.3を参照。

3.4 関連役割(association role)

与えられたトピック関連でトピックが果たす役割の一つ。

3.5 関連型(association type)

    a) トピック関連のクラスとなる主題。
    b) 特定の関連リンクがインスタンスとなるトピック関連のクラスの一つ。与えられた関連リンクがインスタンスとなる関連型は,その任意選択のtypes 属性によって指定できる。

3.6 基底名(base name)

    a) トピックリンクのtopname 下位要素の下位要素(basename )。
    b) basename 要素の内容で指定されるトピックの名前特質。

3.7 境界内オブジェクト集合(bounded object set, BOS)

そのすべてが処理応用に知られており,集合的に処理される,一つ以上の文書及び他の情報オブジェクトの集合。詳細は,JIS X 4155:1999を参照。3.13“ハブ文書”の定義も参照すること。

3.8 表示名(display name)

    a) トピックリンクのtopname 下位要素の下位要素(dispname )であって,トピックリンクの主題を表現する応用によって表示されることを意図した識別情報を含む。
    b) dispname 要素の内容で指定されるトピックの名前特質。

3.9 ファセット(facet)

    a) 外部的に適用される特性を共有する情報オブジェクトの部分集合。
    a) 情報オブジェクトの集合に外部的に適用される特定の特性に与えられる値。

3.10 ファセットリンク(facet link)

与えられた特性に対する値を一つ以上の情報オブジェクトに(その特性それ自体とともに)適用するハイパリンク。

3.11 ファセット型(facet type)

一つ以上のファセットリンクによって,一つ以上のオブジェクトに適用される特性。

3.12 ファセット値(facet value)

特定のファセット型のすべての値の集合のメンバ。

3.13 ハブ文書(hub document)

HyTimeハイパ文書を構成する情報資源の集合(境界内オブジェクト集合,BOS )を定義するために使用するHyTime文書。応用は,ハイパ文書内での閲覧セションの開始点として使用されるHyTime文書を,ハブ文書と見なしてもよい。詳細は,JIS X 4155:1999を参照。定義によって,トピックマップはHyTimeハイパ文書であって,いかなるトピックマップ文書もハブ文書と見なすことができる。

3.14 出現役割(occurence role)

出現のある集合が一つのトピックに関係をもつという意味。トピックマップ体系では,出現役割は,トピックリンクの(HyTime体系で定義されるとおりの)アンカ役割(anchor role)として指定される。

3.15 公開主題記述子(public subject descriptor)

多くのトピックマップにおける多くのトピックリンクのidentity 属性の共通参照元として使用される(又は使用するために特別に設計された)主題記述子(“主題記述子”の定義を参照)。この主題記述子が示す主題は,それを参照するすべてのトピックリンクの共通結合点として容易に認識され,関連するトピックマップは併合される。

3.16 有効範囲(scope)

備考  ここで与えられる有効範囲(scope)の定義は,この規格の適用範囲(scope)を定義する 1.“適用範囲”と混同してはならない(1)。

注1  ISOの原規格では,規格の“適用範囲”と,トピックマップの文脈に適用される“有効範囲”との両方に,同じ“scope”を使用しているためにこの備考がついている。この規格を含む一連のトピックマップのJIS規格では,意味を混同しないために,トピックマップの文脈に適用される“scope”は“有効範囲”と訳し,規格の“適用範囲”と区別する。

トピックの特質割当て(3.24“トピックの特質割当て”の定義を参照。)の有効性の範囲のこと。すなわち,与えられたトピックに名前又は出現が割り当てられる文脈,及びトピックが関連を通じて関係付けられる文脈のこと。この規格は,有効範囲の明示的な指定を要求しない。トピックの特質割当ての有効範囲が,一つ以上のscope 属性を通じて明示的に指定されない場合,トピック特質がそのトピックに適用される有効範囲には,トピックマップ全体におけるすべてのトピックが含まれる。この特別な有効範囲を,“制約なしの有効範囲”と呼ぶ。有効範囲が指定された場合,その指定は,集合のメンバとしての役割の文脈において“テーマ”と呼ばれるトピックの集合から構成される。各テーマは,それらテーマが集合的に定義する有効範囲の範囲に寄与する。与えられた有効範囲は,その有効範囲を指定するために使用されるテーマの集合の主題の合併集合とする。

備考  二つのトピックの(合併集合ではなく)共通部分となる有効範囲を指定するのが望ましい場合,これは,主題がその共通部分であるトピックを作成し,そのトピックを一つのテーマとして使用することによって達成できる。

3.17 整列名(sort name)

    a) トピックリンクのtopname 下位要素の下位要素(sortname )であって,アルファベット順又は他の順序での順序付け使用されることを意図したトピック名の代替表現である文字列を含む。
    b) sortname 要素の内容で指定されるトピックの名前特質。

3.18 主題(subject)

最も一般的な意味において,“主題”とは,存在しているかどうか,又は他の特定の特質をもっているかどうかにかかわらず,それについていかなる手段で表明してもよいあらゆるもののこととする。

備考  すべてのトピックリンクの目には見えない核心は,その作者がそれを作成したときに考えていた主題である。ある意味で,トピックリンクは主題を具体化する。トピックリンクのidentity 属性は,トピックリンクの作者が,考えた主題をトピックの構成原理のとおりに可能な限りあいまい性なく示すことができるために提供される。3.19“主題記述子”の定義を参照すること。

3.19 主題記述子(subject descriptor)

主題の識別性の明白なあいまい性のない指示を提供することを意図し,トピックリンクのidentity 属性の参照元となる情報(3.15“公開主題記述子”を参照)。

備考1  主題記述子は,主題を定義するテキストとすることができるが,テキストであることは要件ではない。例えば,主題は,美術館のコレクションの資産の購入番号,商品カタログのカタログ番号,図書館の主題見出しカタログの主題見出しといった,主題のカタログのリストであってもよい。偶然に定義となった主題記述子と通常の定義の出現との差異は次のとおりとする。すなわち,主題記述子の場合には,トピックリンクの作者が,その主題記述子をトピックリンクの構成原理の権威付けられた定義として見なすことが望ましいと(identity 属性の値でそれを参照することによって)示したこととする。通常の定義の出現の場合には,作者は,定義的な出現として定義を特徴付けることによって,その定義の存在及びトピックリンクの主題への可能な関連性を認めているだけとする。

備考2  主題記述子は,オフラインの資源であってもよい。

3.20 テーマ(theme)

トピック特質割当てが有効である有効範囲を構成するトピックの集合のメンバ。3.16“有効範囲”及び3.21“トピック”の定義も参照すること。

3.21 トピック(topic)

    a) 0個以上の,名前,出現,及び他のトピックとの関連において果たされる役割を含んだ,その構成原理が一つの主題となる,トピック特質の集合体。
    b) トピックリンク要素。5.2を参照すること。

3.22 トピック関連(topic association)

    a) 関連リンク要素によって表明される特定のトピックの間の特定の関係。
    b) 関連リンク要素。5.3を参照すること。

3.23 トピック特質(topic characteristic)

トピックの特質を定義するもの。トピック特質は,次の3種類とする。

    a) 名前。
    b) 出現。
    c) 他のトピックとの関係(“関連”)で果たされる役割。

例えば,トピックの名前は,そのトピックの“名前特質”となる。

3.24 トピック特質割当て(topic characteristic assignment)

    a) トピック特質がトピックの特質になる機構。例えば,トピックリンク要素のtopname 下位要素は,トピックに名前をトピック特質として割り当てるのに使用されるので,トピックマップ文書では,この要素は,トピック名前特質を割り当てる機能を実行する。
    b) 特定のトピック特質が特定のトピックの特質であるという事実。

3.25 トピックリンク(topic link)

この規格の5.2で定義するトピックリンク体系形式に適合するハイパリンク要素。

備考1  この規格では,この定義は,“topic link”という語句によって,又はトピックリンク体系形式のデフォルトのSGML名が“topic”なので,SGML名を識別するために使用される特別な文字列(すなわち,topic )によって呼び出される。

備考2  3.21“トピック”の定義も参照すること。

3.26 トピックマップ(topic map)

    a) トピックマップ応用によって境界内オブジェクト集合と見なされる情報資源の集合。ただし,その境界内オブジェクト集合のハブ文書は,この規格が定義するSGML体系に適合するトピックマップ文書とする。
    b) この規格が定義するSGML体系に適合するあらゆるトピックマップ文書,又はそれら文書の文書要素(topicmap )。
    c) トピックマップ文書体系の文書要素型(topicmap )。

3.27 トピック名(topic name)

    a) トピックの名前として指定された文字列。すなわち,トピックの名前特質。
    b) この規格が定義するとおりのトピック名(topname )要素。
    c) この規格が定義するとおりの,基底名(basename )要素,表示名(dispname )要素若しくは整列キーとして使用される名前(sortname )要素のいずれか,及び/又はそれら要素が含む情報。
    d) これらの組合せ。

3.28 トピック出現(topic occurrence)

与えられた主題に関連するとして指定された情報。

備考  トピック出現は,オフラインの資源であってもよい。

3.29 トピック型(topic type)

    a) トピックのクラスとなる主題。
    b) 特定のトピックリンクがインスタンスとなるトピックのクラスの一つ。与えられたトピックリンクがインスタンスとなるトピック型は,その任意選択のtypes 属性を通じて指定できる。

3.30 制約なしの有効範囲(unconstrained scope)

トピックマップにおけるトピックすべてから構成される有効範囲。いかなる適用可能なscope 属性もトピック特質割当てを支配するとして明示的に指定されていない場合,トピック特質割当てが行われる有効範囲は,この制約なしの有効範囲とする。

備考  換言すると,制約なしの有効範囲とはデフォルト有効範囲のことである。したがって,例えば,与えられたトピックマップにおいて,いかなるscope 属性もトピックの名前特質として明示的に指定されていない場合,トピック命名制約の影響によって,同じ名前をもついかなる二つのトピックリンクも併合される。


4. 記法

トピックマップは,その定義(この規格)が,JIS X 4155:1999の附属書A(規定)のA.3のSGML体系形式定義要件 (AFDR)における体系形式定義要件に適合する機能付与文書体系とする。トピックマップ記法の形式的定義は,メタDTDとして表現される。トピックマップ体系の規定は,参考としてのテキストと形式的定義との組合せによって与えられる。

この規格での,業界及びベンダ固有の規定,製品,利用者グループ,並びに出版物へのいかなる参照も,規定とはしないし,ISO,IEC又はその加盟国若しくはその支部による承認を意味しない。言及される任意のブランド名又は商標名は,それぞれの所有者の資産とする。

形式的定義は,SGMLで表現される。

形式的なSGML定義は,この規格の一部であるが,ISOの著作権によって保護されている。トピックマップ体系への適合性を促進するために,形式的なSGML定義は,次のISOの著作権表示で指定されるとおりに複写してよい。

Copyright (C) 2000 International Organization for Standardization. Permission to copy in any form is granted for use with conforming Topic Maps systems and applications as defined in ISO/IEC 13250:2000, provided this notice is included in all copies.

参考  著作権表示の日本語訳を次に示す。

Copyright (C) 2000 International Organization for Standardization. この著作権表示をすべての複写物に含めるという前提のもとで,ISO/IEC 13250:2000で定義するとおりの適合するトピックマップのシステム及び応用とともに使用する場合に,任意の形式での複写を許可を認める。

このISOの著作権による形式的なSGML定義の複写の許可は,この規格の中の他のいかなるものにも適用されない。

備考  この規格は,特定の語句の意味するところを理解するために読者がよく知っていることが望ましい編集規約を使用する。この編集規約は,ISOが必須としている。

それぞれの構成要素を記述するテキストは意味を強調し,その一方で,形式的なSGML定義は,そのテキストによる記述の基礎となる厳密な構文上の定義を提供する。

備考  この理由のために,読者は,そのテキスト記述を読む際に対応するSGML定義を参照することが望ましい。SGML定義は関係するテキストの後に常に存在するが,ある場合には,利用者は,SGML定義を最初に読むことが助けになるかもしれない。メタDTDは,“附属書A(規定) トピックマップメタDTD”に存在する。

構成要素が最初に導入されるときには,テキストで示される。構成要素が形式的なSGML規定の中に出現する場合,形式的なSGML名及び英語での省略のない名前の両方が,次のとおりに示される。

宣言は,“規約コメント”と呼ばれるコメントを含む。このコメントは,HyTime規格で確立された規約に従うもので,構文的及び意味的な制約,並びにトピックマップエンジンなどの体系のエンジンに知らされる他の情報を指定している。規約コメントは,いかなる方法においても,SGMLを拡張しない。それは,体系の文書化のための記法として,体系定義の中でだけ使用される。応用DTDに含まれなくともよく,含まれる場合には,SGML構文解析系は他のコメントであるものとして取り扱う。

4.1 RCS名,完全名,記述及び節

すべての形式名(RCS名)には,完全名,形式の記述,及びその形式が定義されるこの規格の節の番号を与えるコメントが続く。

個々の属性は,完全名及び記述のコメントをもつ。

4.2 Constraint

“Constraint”とラベル付けされたコメントは,それに先行する構成要素の付加的な意味的又は構文的な制約を定義する。形式の名に続く制約コメントは,一般に,その形式の使用に関する制約を定義する。宣言の構成要素(例えば,属性宣言のデフォルト値の指示)に続く制約コメントは,その構成要素に関する特定の制約を定義する。

4.3 Note

“Note”とラベル付けされたコメントは,他のコメントの型で提供されない付加的な情報を提供し,制約的ではなく参考的なものとする。


5. トピックマップ体系

5.は,トピックマップの構文を定義する。トピックマップ構文は,JIS X 4155:1999の6,7及び8で定義されるとおりに,HyTime体系の基本モジュール,所在番地モジュール及びハイパリンクモジュールを使用する。

備考  トピックマップ構文の全体の形式的定義,すなわち,トピックマップメタDTDは,この規格の附属書A(規定)に存在する。

交換される場合,トピックマップは,HyTimeの境界内オブジェクト集合(BOS)とする。それらBOSのハブ文書は,トピックマップ体系支援宣言を含まなければならない。例えば,附属書B(参考)を参照すること。

HyTimeによって定義されたハイパリンク構文の一つ,すなわち可変リンク(varlink ),だけが,トピックマップ構文として使用される。

HyTime体系は,番地付け機構の包括的集合及びそれらを使用するための標準的な構文を提供する。さらに,それによって,番地付け構文を宣言し使用することが可能となる方法を提供する。トピックマップ体系は,HyTimeのこれら機能を保存する。そこで,トピックマップ体系は,それぞれの記法がSGML規格及びHyTime規格によって定められた方法で記法として形式的に宣言されているという前提のもとで,トピックマップの作成者に,任意の記法での表現から派生する独自の番地付け機構を含んだ,いかなる番地付け方式も使用することを許している。

備考  例えば,XML環境では,所在番地付けは,IETFの統一資源ロケータ(Uniform Resource Locator,URL)記法を使用して達成される。

5.1 トピックマップ体系形式

トピックマップ(topicmap )要素形式は,この規格によって定義されるトピックマップ体系に適合するすべての文書の文書要素として使用される。

追加テーマ(addthems )属性を指定する効果は,その要素がルート要素である文書全体で行われるすべてのトピック特質割当ての有効範囲に対し,その属性が参照するテーマを追加することとする。

備考1  3.1“追加テーマ”の定義を参照すること。

備考2  addthems 属性は,その属性が指定するテーマの集合によって定義された有効範囲内のトピック特質割当てだけを文書が指定するという事実を確認し文書化するために使用できる。その属性は,すべての有効範囲において,これら共通のテーマを明示的に指定することを避けるために使用できる。トピックマップ文書が他のトピックマップ文書と併合された後,最初の文書が併合された結果のトピックマップに行った寄与は,その文書が寄与したすべてものは,その文書要素のaddthems 属性によって指定されたトピックの有効範囲内に継続して現れるという事実のおかげで,他のすべての文書の寄与から区別することができる。

topicmap 要素型は,HyTime体系(HyDoc )の文書要素型から派生する。残りの属性のすべて(maxbosboslevel 及びgrovplan )は,HyDoc から継承される。任意選択のmaxbos 属性及びboslevel 属性は,その文書をルートとするHyTime境界内オブジェクト集合のメンバを指定する際にハブ文書で使用される。任意選択のgrovplan 属性は,HyTime番地付けで使用される。JIS X 4155:1999を参照すること。

備考  TMCFCパラメタ実体の使用が示すとおり,妥当なトピックマップ文書は,その中に,トピックリンク,関連リンク又はファセットリンクをもってもよいし,もたなくてもよい。適合応用は,facet 要素型だけをサポートしてもよいし,facet 要素型をサポートしなくてもよい。

< !entity %
   TMCFC         -- Topic map context-free content --
   "topic|assoc|facet|bosspec|addthms|TMBrid"
>

< !element
   TMBrid        -- Topic map bridge element --
   - O
   ANY
>

<!element
   topicmap       -- Topic map document element --
                  -- Clause: 5.1 --
   - O
   (%TMCFC;)*
>

<!attlist
  topicmap
   HyTime         -- HyTime architectural form name --
      NAME
      HyDoc       -- HyTime document element.  (This
                     attribute definition is redundant; it
                     appears here as an aid to
                     understanding.) --
   addthems       -- Added themes --
                  -- Themes to add to all scopes that govern
                     the assignments of topic names,
                     occurrences, and roles played in
                     associations in this topic map
                     document. --
      CDATA       -- Reference --
                  -- Reftype: topic+ --
      #IMPLIED    -- Default: No themes added via this
                     attribute. --
   -- bos --      -- HyTime bounded object set --
                  -- HyTime Clause: 6.5.1 --
   maxbos         -- Maximum bounded object set level --
                  -- Bounding level of HyTime bounded object
                     set when document is a hub or
                     subhub. --
      NUMBER      -- Constraint: Depth of nested entities to
                     include in BOS (0=no limit, 1=hub only)
                     --
      0
   boslevel       -- Bounded object set level --
                  -- Default BOS level used by data entities
                     declared in hub document. --
      NUMBER      -- Constraint: Depth of nested entities to
                     include in BOS (0=no limit, 1=this
                     entity only) --
      #IMPLIED    -- Default: No HyTime BOS --
-- bosspcat --    -- BOS exception specification attributes
                     --
                  -- HyTime Clause: 6.5.3 --
   bosspec        -- Bounded object set exception
                     specification --
                  -- Adjustments to be made to the bounded
                     object set. --
      IDREFS      -- Reference --
                  -- Reftype: bosspec+ --
                  -- Constraint: Must be internal reference
                     --
      #IMPLIED    -- Default: No BOS exception specification
                     --
-- dgrvplan --    -- HyTime document grove plan --
                  -- HyTime Clause: 7.1.4.1 --
   grovplan       -- Grove plan --
                  -- Grove plan for HyTime extended SGML
                     document grove --
      CDATA       -- Reference --
                  -- Reftype: grovplan --
      #IMPLIED    -- Default: HyTime default grove plan --
>

5.2 トピックリンク

5.2.1 トピックリンク体系形式

トピックリンク(topic )要素形式は,トピックに,トピック名前特質及びトピック出現特質を割り当てるために使用する。

すべてのトピックリンクは,その作成者によって,主題がどこかで明示的に定義されているかどうかにかかわらず,正確に一つの主題に関して組織化されるものと意図されている。トピックリンクは,その主題に関係のある0個以上の名前及び0個以上の情報の断片(“出現”)を宣言してもよい。名前及びその名前が主題に適用できる有効範囲は,topname 下位要素を使って宣言される。出現は,トピックリンクのアンカ(anchor)とする。これらのもの及び出現が主題に適用可能な有効範囲は,occurs 下位要素を使って指定される。

必須の一意識別子(id )属性は,関連リンクによって,他のトピックリンクのidentity 属性によって,及びscope 属性及びaddthems 属性による有効範囲の中のテーマとしてのそれらの役割の中で,トピックの番地付けを容易にする。

任意選択の主題識別性(identity )属性は,トピックリンクの主題(組織化原理)の識別性の一つ以上の表示(“主題記述子”)を参照する。トピックリンクによって指定される他のトピック特質のすべては,存在する場合には,主題記述子によって記述される主題と矛盾することがなく精密化するものと見なされる。identity 属性が参照してもよい情報の種類には制限はない。

備考  identity 属性が参照する情報は,トピックマップ文書におけるトピックリンクの形式を取ってもよいし,テキスト形式であってもよいし,コンピュータが解釈できる形式であってもよいし,オンラインであってもよいし,それらでなくともよい。

identity 属性を使って同じ主題を参照する二つ以上のトピックリンクは,両方のトピックリンクの特質(名前,出現及び関連)の合併集合をもつ一つのトピックリンクに等価とする。二つ以上のトピックリンクは,併合されてもよいし,応用は,それらトピックリンクが併合されたものとして処理及び/又はレンダリングしてもよい。

備考  二つ以上のトピックリンクがこの規則のもとで併合されるためには,それらトピックリンクは,同じ主題記述子を参照する必要はない。二つのidentity 属性によって示された主題は,一つであって同じ主題となることだけを必要とする。二つ以上のトピックが正確に同じ主題記述子を参照している場合には,その主題記述子は,“公開主題記述子”として記述されてもよい。それらすべてのトピックが同じ主題記述子を共有する場合,同じ主題識別性を共有するという仮定をすることによって,それらのトピックの併合を自動化することが可能になる。

同様に,identity 属性が一つ以上のトピックリンクを参照している場合には,トピックマップ処理応用は,参照するトピックリンクとすべての参照されるトピックリンクとを,一つの同じ主題をもつと見なさなければならなず,そのために,それらはすべて併合されてよい。

任意選択のトピック型(types )属性は,一つ以上のトピックリンクを参照する。各々のそれら参照されるトピックリンクの主題は,参照するトピックリンクの主題がインスタンスとなる主題のクラスとする。各々の参照されるトピックリンクの主題と参照するトピックリンクの主題との間に確立されるクラス及びインスタンスの関係は,その意味がクラスとそのクラスのインスタンスとの間の関係となるトピック関連リンクによっても確立される。

備考  換言すれば,types 属性は,参照するトピックが各々の参照されるトピックの出現になる方法というよりも,トピック間の関係(トピック関連)を確立する。

types 属性によって確立されたトピック関係は,上位クラス及び下位クラスの関係ではない。それらは,単に,クラス及びインスタンスの関係とする。

備考  トピック間の上位クラス及び下位クラスの関係は,その目的のために利用者定義されたトピック関連リンクによって表明できる。

任意選択の有効範囲(scope )属性は,トピックリンクによって指定されたすべての名前及び出現が有効となる有効範囲に追加されるテーマを参照する。

備考  トピックリンク体系形式のscope 属性は,構文的な冗長性を減少させることを許すために設計されており,トピックのすべての名前及び出現が有効となる有効範囲に共通のテーマを一度で指定できる手段を提供する。しかし,使用することで冗長性が減少するとしても,その使用は必須ではない。

有効なトピックリンクは,トピック名,トピック出現又は少なくとも一つの他の有効なトピックとの関連において演じられる役割の少なくとも一つをもたなければならない。

topic 要素型は,HyTime体系のvarlink 要素型から派生する。

備考  しかし,(この規格の原国際規格の出版時点では,)HyTime体系は,varlink 要素が常に少なくとも一つのanchspec を含むことを要求している一方で,内部にoccurs 要素が存在しないトピックリンクをもつことが可能なので,occurs 要素が含まれていない場合には,HyTime 属性の値はHyBrid となる必要があり,occurs 要素が含まれている場合には,HyTime 属性の値はvarlink となる必要がある。HyTime体系の将来の版では,anchspec 要素を含まないvarlink 要素を許すことが予想される。HyTime規格にそれら変更が行われる場合には,すべてのtopic 要素のHyTime 属性の値をvarlink に固定することが可能となる。

任意選択のハイパリンク型(linktype )属性は,リンク型名が共通識別子とは異なることを許可するために,HyTime体系によって定義される。

備考  linktype 属性の値もトピックリンクの共通識別子も,この規格が定義するトピックマップのセマンティクスの観点からは重要ではない。

<!element
  topic           -- Topic link --
                  -- Clause: 5.2.1 --
  - O
  ( topname | occurs)*
>

<!attlist
  topic
   HyTime         -- HyTime architectural form name --
     (varlink|HyBrid)
     varlink      -- Constraint: varlink must be specified
                     when occurrences exist. If topic has no
                     occurrences, it must be declared as a
                     HyTime bridge element (HyBrid). --
   id             -- Unique identifier --
      ID
      #REQUIRED
   identity       -- Subject identity --
                  -- Reference to information (one or more
                     subject descriptors) that confers
                     understanding of the identity of the
                     subject of this topic link. --
      CDATA       -- Reference --
      #IMPLIED    -- Default: No subject descriptors; the
                     subject must be inferred from the
                     topic's characteristics. --
   types          -- Topic types --
                  -- Topics whose subjects are the classes
                     of topics of which this topic is an
                     instance. --
      CDATA       -- Reference --
                  -- Reftype: topic+ --
      #IMPLIED    -- Default: No class-instance topic
                     associations are established via this
                     attribute.  --
                  -- Note: Some might still be specified by
                     topic association links, however. --
   scope          -- Scope --
                  -- The themes that are added to the scopes
                     of all the names and occurrences
                     specified by this topic link.  --
      CDATA       -- Reference --
                  -- Reftype: topic+ --
      #IMPLIED    -- Default: No themes are added by this
                     attribute. --
   linktype       -- Hyperlink type --
      NAME
      #IMPLIED    -- Default: Generic identifier --
>

5.2.2 トピック名体系形式

トピックは,0個以上の名前特質(トピック名)をもってもよい。トピック名は,トピック名(topname )要素を使用して指定する。すべてのそれら名前は,その主題がそれを含んでいるトピックリンクの主題となるトピックのトピック特質になる。

この規格は,3種類のトピック名を区別する。その3種類とは,すなわち,基底名(basename ),表示名(dispname )及び整列キーとして使用される名前(sortname )であって,topname 要素が含んでよい三つの対応する要素型を使って指定される。

topname 要素の有効範囲(scope )属性は,含まれるbasename 要素,dispname 要素及びsortname 要素によって指定されるトピック名前特質のすべての有効範囲に共通なテーマを指定する。有効範囲は,topname 要素が指定する名前特質が,それを含むトピックリンクの主題を主題とするトピックに割り当てられる文脈(又は有効性の範囲)とする。

含まれる名前要素(basenamedispname 及びsortname )のscope 属性は,それを含むtopname 要素のscope 属性と同じ方法で,名前ごとにより多くのテーマを追加するために使用してもよい。

備考1  このように,topname 要素形式のscope 属性は,単に,含まれる要素に共通なテーマを,各々の含まれる要素のscope 属性を通じて別々に指定する構文上の冗長性を回避する手段である。

備考2 3.の3.20“テーマ”及び3.16“有効範囲”の定義も参照すること。

scope 属性が,basename 要素,dispname 要素又はsortname 要素のいずれによっても指定されず,その属性を含むtopname 又はその含むtopname が含むトピックリンクのいずれによっても指定されない場合,そのbasenamedispname 又はsortname が指定する名前特質の有効範囲は,制約がないとする。これらscope 属性のいずれかが指定されている場合には,その有効範囲は,scope 属性がテーマを指定していない場合であっても,これらのscope 属性が指定するテーマに,境界内オブジェクト集合の中の適用可能なaddthms 要素を通じて追加されるテーマを加え,さらに,それを含むtopicmap 文書要素のaddthems 属性を通じて追加されるテーマを加えたものに制約される。

任意選択の表示名(dispname )要素の内容は,それを含むtopname 内のbasename 要素が指定する名前を表示目的で使用しないほうがよい場合に,応用が利用者に表示するために設計された名前を指定する。

備考  表示名は,表示資源が限られているか,それがあるデータ内容記法で表現された図形であるといった状況において,短縮名を指定するために使用できる。

任意選択の整列キーとして使用される名前(sortname )要素の内容は,それを含むtopname 内のbasename 要素が指定する名前をその目的では使用しないほうがよい場合に,ある順番でトピックのリストを整理する整列処理でトピックを表現する目的で使用するために設計された名前を指定する。

備考  このように,basename 要素は,少なくとも一つは必要であって,実効的に,任意選択のdispname 要素及びsortname 要素のデフォルト内容にもなる。dispname 要素が指定されない場合には,basename 要素を表示名として使用するのがよい。同様に,sortname 要素が指定されない場合,basename 要素を整列キーとして使用するのがよい。

basename 要素及びsortname 要素の両方のデータ内容は,テキスト文字列でなければならず,それらは,語又は句であってもよい。dispname 要素のデータ内容は,テキスト文字列又は記法データでよい。記法データの場合には,トピックマップの利用者の一つ以上の観念の主題を識別することを意図した表示可能な図形又は他の情報でもよい。dispname の内容が記法データの場合,HyTimeが定義するnotation 共通属性(JIS X 4155:1999参照)を通じてその記法を宣言しなければならない。

備考  基底名,表示名及び整列キーとして使用される名前が,それらを含む一つのtopname要素を共有してもよい理由には二つある。それら理由は,次による。
    a) 含むtopname 要素のscope 属性を通じて指定される共通有効範囲を共有できること。
    b) 基底名,表示名及び整列キーが互いに対応することを示すこと。したがって,基底名と表示名との間に1対1の関係が望まれる場合には,例えば,一つの基底名及び一つの表示名から構成される各対が,分離されたtopname 要素に含まれなければならない。しかし,表示名も整列名も使用しない場合であって,一つのトピックの多くの基底名が同じ有効範囲をもつ場合には,それら基底名のすべては,一つのtopname 要素内に出現してもよい。

この規格は,二つの区別された主題が,正確に同じ有効範囲内に同じ名前特質をもつことを許可しない(“トピック名前付け制約”)。トピックマップが処理されるとき,一つの有効範囲として与えられる各々の区別されたテーマ集合は,その中で二つの主題が同じ名前をもつことができない名前空間を構成する。規格に適合するトピックマップ応用が,複数のトピックリンクが同じ有効範囲内で同じ名前特質をもつ状況を検出する場合には,それらは,併合されなければならない。

備考1  このことは,トピックマップをレンダリングする応用は,同じ有効範囲内で同じ名前をもつトピックリンクのすべてのトピック特質の合併集合から成る特質をもつ一つのトピックリンクだけが存在するものとして振る舞うことを意味する。

備考2  トピック名前付け制約は,トピック名前特質に関して,主題をあいまい性なく識別する能力を保持するために設計されている。トピック名前付け制約は,関連する出現へのナビゲーションを支援するために語及び句の様々な意味を区別しなければならない索引及び用語集の最も基本的な機能をサポートするためにも必要となる。トピックマップの作成者は,二つ以上の主題に使用される名前の意味の違いを区別するために有効範囲を使用しなければならない。その結果として,トピックマップの作成者が,scope 属性を明示的に指定することを望まない場合には,作成者は,デフォルトの有効範囲が一つの有効範囲,すなわち,制約なしの有効範囲なので,二つの違った主題に対して同じ名前を使用することができない。二つの同等な名前が一つの有効範囲に現れることになるので,それら二つの名前がトピック特質となる二つの主題は,自動的に併合される。それら併合は,同じ有効範囲の中で同じ名前をもつ二つのトピックリンクが,同じ主題識別性をもっていない場合には,誤っており,非常に望ましくない。

備考3  トピックマップの作成者に対する支援として,トピックマップの作成及び併合の応用は,トピックリンクが,同じ有効範囲の中で同じ名前をもっているという事実のために併合される場合には,警告を出すように設計されてもよい。

備考4  トピック名前付け制約の効果の一つは,メンバトピックマップが,別々に,非同期に,及び併合されたトピックマップの構成要素文書間の参照の容易な保守を許すように設計された付加的な合意された規則(例えば,ある種の要素名前付け規則など)なしに,保守される場合であっても,トピックマップの併合を保守可能とする方法で,その併合を達成できることにある。トピック名前付け制約は,トピックマップが提供する主題の番地付けを,対応するトピックリンクの構成又はタグ付けではなく,名前と名前を区別する基準(名前特質が有効となる有効範囲)とにだけ依存するようにする。トピックマップを併合する処理は,トピックマップハブ文書を作成することによって達成できる。ただし,このトピックマップハブ文書は,他のトピックマップをBOSのメンバとして指定し,同じ有効範囲内で,メンバトピックマップ文書の中のトピックの名前と同じ名前のトピックリンクを含むものとする。構成要素のトピックマップの一つをそれ自体の新しい版と置き換える処理は,古い版を新しい版で置き換え,境界内オブジェクト集合を通常の方法で再処理することとする。最も適した併合を得るために,新しい版では,操作系の一部に関して多少の工夫及び努力を必要性とするような名前の変更及び有効範囲の変更があってもよい。しかし,この要求される努力は,最後の併合が完了した後に構成要素トピックマップになされた変更が引き起こした問題の解決に限定される。

備考5  併合されることが望ましい二つのトピックマップが,二つの異なる主題に対して,同じ有効範囲内で同じ名前を提供してしまったために,互いに(名前の)衝突を起こしている場合,一つ以上のaddthms 要素を使用し,それらトピックマップを含むトピックマップ文書の一方又は両方に異なる追加テーマを適用することによって,異なる主題の併合を防ぐことができる。それらaddthms 要素が指定する追加テーマは,全く同じ有効範囲内にはもはや現れないので,二つの同じ名前を区別するために使用できる。

<!element
  topname         -- Topic name --
                  -- Clause 5.2.2--
  O O
  (basename+, dispname*, sortname* )
                  -- If dispnames or sortnames are not
                     specified, applications use basenames
                     for display and sorting purposes. --
>

<!attlist
  topname
   scope          -- Scope --
                  -- Reference to a set of themes (topic
                     links) to be added to the scopes of the
                     name characteristics specified by the
                     contained basename, dispname, and
                     sortname elements.  Scopes are sets of
                     themes that collectively define the
                     limited context within which
                     characteristics are validly applicable
                     to the topic. --
      CDATA       -- Reference --
                  -- Reftype: topic+ --
      #IMPLIED    -- Default: No themes are added via this
                     attribute. --
>

<!element
  (basename | sortname)
                  -- Base name --
                  -- and --
                  -- Name to be used as sort key --
   - O
  (#PCDATA)       -- String to be used as name --
>

<!element
     dispname     -- Display name --
      - O
  (#PCDATA|TMBrid)*
                  -- String (or notation data) to be
                     displayed as name --
>

<!attlist ( basename | sortname | dispname)
   scope          -- Scope --
                  -- References to a set of themes (topic
                     links) to be added to the scope of the
                     name characteristic specified in the
                     content. --
      CDATA       -- Reference --
                  -- Reftype: topic+ --
      #IMPLIED    -- Default: No themes are added via this
                     attribute. --
>

5.2.3 トピック出現体系形式

内容の中に指定された所在番地によって,トピック出現(occurs )要素は,それを含むトピックリンクの主題に関係する情報(一つ以上の“出現”)を参照する。この規格は,トピックの出現として指定できる情報オブジェクトの性質にも,それら出現の参照に使用する番地付け記法にも,制約を課さない。

備考1 応用は,制約を課してもよい。

備考2 トピック出現は,オフラインの資源でもよい。

与えられたoccurs 要素によって指定されたすべての出現は,“出現役割”と呼ぶ出現の一つの利用者定義カテゴリに分類される。この役割は,それを含むトピックリンクによって特徴付けされた主題に参加する情報への寄与に関し,出現が演じる役割とする。一つのトピックリンク内で,二つ以上のoccurs 要素が同じ情報を参照してもよい。この場合,その情報は,複数の出現役割を演じる。

備考  例えば,トピックリンクの主題がレオナルド ダ ヴィンチの場合,“科学的伝記”という出現役割が存在してもよいし,これとは別の“芸術的伝記”という出現役割が存在してもよい。情報資源の中には,両方のカテゴリに分類されるものがあってもよい。その場合には,それら資源は,二つの出現役割に対応するoccurs 要素の両方によって参照される。

出現役割は,その出現がそれを含むトピックリンクの主題に関係する有効範囲とする。その有効範囲を構成するテーマ(トピック)の集合は,任意選択の有効範囲(scope )属性を通じて指定される。occurs 要素がいかなるscope 属性も指定していない場合であって,その要素を含むtopic リンク要素がいかなるscope 属性も指定していない場合には,そのoccurs 要素が指定する出現特質の有効範囲は,制約なしの有効範囲とする。scope 属性のいずれかが指定されている場合には,その有効範囲は,(たとえ,scope 属性がテーマを指定していない場合でも,)それらscope 属性が指定するテーマに,境界内オブジェクト集合の中の適用可能なaddthms 属性が追加するテーマ,さらに,それらを含むtopicmap 文書要素のaddthems 属性が追加するテーマを加えたものに制約される。

任意選択のoccrl 属性は,出現役割に,人の記憶を助ける名前(mnemonic name,以降,ニモニック名)を提供するために使用できる。occrl 属性が指定されていない場合は,共通識別子が,その出現役割のニモニック名とみなされる。

任意選択の出現役割型(type )属性は,一つのトピックリンクを参照する。参照されるトピックリンクの主題は,occurs 要素によって表現される出現役割がインスタンスとなる出現役割のクラスとする。参照されるトピックリンクの主題とそれを参照するoccurs 要素との間に確立されるクラス及びインスタンスの関係は,出現役割がそのトピックリンクの主題のインスタンスになるという意味をもつ出現役割の有効範囲内において,occurs 要素を参照されるトピックリンクの出現とすることによっても確立することができる。

出現役割型(type )属性が指定されていて,そのtype 属性によって参照されるトピックが,トピックマップ利用者の文脈に適切な有効範囲内に存在する名前特質をもっている場合,参照されるトピック名前特質を使用して,利用者のために出現役割を特徴付ける。そうでない場合は,occrl 属性(又はoccrl 属性が指定されていない場合には共通識別子)の値を使用して,利用者のために出現役割を特徴付ける。

備考  type 属性を通じて参照されるトピックは,多くの異なる自然言語及び配布基盤を含む,多くの異なる利用者文脈に対して設計された有効範囲内に多くの名前をもつことができる。その一方で,occrl 属性又は共通識別子は,単に一つのトークンに過ぎない。そのため,出現役割を特徴付けるために,type 属性が参照するトピックを使用することは,occrl 属性又は共通識別子によって提供する単純なニモニック名前付け機能よりもはるかに高い柔軟性及び表現力を提供する。

occurs 要素型は,HyTime体系のanchspec 要素型から派生する。残りの属性の大部分(linktravlisttravmultmem 及びemptyanch )は,HyTime規格が定義するanchspec 要素型から継承される。これらには,トピックマップ応用のために一般に適切なデフォルト値が与えられている。しかし,それらは,HyTime体系(JIS X 4155:1999参照)が指定するデフォルト値とは必ずしも同じではない。HyTime処理のためにはoccrl 属性をHyTimeのanchrole 属性とみなすのが望ましいことを示すために,ここでは,HyNames体系制御属性を使用する。JIS X 4155:1999を参照すること。

<!element
  occurs          -- Topic occurrence --
                  -- Clause: 5.2.3 --
  - O
  (%loc;)*

>
<!attlist
  occurs
   HyTime         -- HyTime architectural form name --
      NAME
      #FIXED
      anchspec
   scope          -- Scope --
                  -- Reference to themes that are added to
                     the scope within which the occurrences
                     are applicable to the topic
                     characterized by the containing topic
                     link.--
      CDATA       -- Reference --
                  -- Reftype: topic+ --
      #IMPLIED    -- Default: No themes are added to the scope
                     by means of this attribute. --
   occrl          -- Occurrence role name --
                  -- Note: Not displayed for the topic map
                     user if the topic referenced by the
                     type attribute has displayable
                     characteristics within the user's
                     scope. --
      NAME
      #IMPLIED    -- Default: GI of element is treated as
                     occurrence role name. --
   type           -- Occurrence role type --
                  -- Reference to the topic that names
                     and/or otherwise characterizes the
                     occurrence role.  The characteristics
                     of the referenced topic, if
                     appropriate, will be displayed to the
                     user instead of the value of the occrl
                     attribute. --
      CDATA       -- Reference --
                  -- Reftype: topic --
      #IMPLIED    -- Default: No topic characterizes the
                     occurrence role, unless this element is
                     an occurrence (with an occurrence role
                     whose meaning is instance) of a topic
                     whose subject is the nature of the
                     occurrence role.  The value of the
                     occrl attribute will be displayed as
                     the occurrence role name. --
   linktrav       -- Hyperlink traversal rules --
                  -- Traversal between anchors of hyperlinks:
                     A any traversal or departure (EID)
                     D departure after internal arrival
                     E traversal after external arrival
                     I traversal after internal arrival
                     N no traversal after internal arrival
                     P no internal arrival
                     R return traversal after internal arrival --
      NAMES       -- Lextype: ("A"|"EI"|"ER"|"ED"|"EN"|"EP"|"ERD"|
                               "I"|"ID"|"D"|"N"|"P"|"R"|"RD") --
      A
   listtrav       -- List traversal rules --
                  -- Traversal between members of list anchors:
                     A adjacent (both left and right) traversal
                     L left traversal
                     N no traversal
                     R right traversal
                     W wrapping traversal --
      NAMES       -- Lextype: ("A"|"AW"|"L"|"LW"|"N"|"R"|"RW") --
      N           -- Default: Show the whole list --
   multmem
      (single|list|corlist)
      list
   emptyanc
      (error|noterror)
      error
   HyNames
      CDATA
      "anchrole occrl"
>

5.3 関連リンク

5.3.1 関連リンク体系形式

関連リンク(assoc )要素形式は,トピックの間の関係を表現するのに使用する。トピックマップ応用は,関係の性質及びそれらの関係においてトピックが演じる役割の性質を定義する。

任意選択の有効範囲(scope )属性は,その中で関連が関連リンクの端点として機能するトピックに適用可能となる有効範囲(テーマの集合)を指定する。scope 属性が指定されていない場合は,有効範囲は制約なしとする。scope 属名が指定されている場合には,有効範囲は,(scope 属性がテーマを指定していない場合であっても,)scope 属性が指定するテーマに,境界内オブジェクト集合の中の適用可能なaddthms 要素を通じて追加されるテーマ,さらに,それを含むtopicmap 文書要素のaddthems 属性を通じて追加されるテーマ,を加えたものに制約される。

任意選択のハイパリンク型(linktype )属性は,関連型に対してニモニック名を提供するために使用することができる。linktype 属性が指定されていない場合には,共通識別子が,関連型のニモニック名と見なされる。

任意選択の関連型(type )属性は,一つのトピックリンクを参照する。参照されるトピックリンクの主題は,関連リンクによって表現された関連がインスタンスとなる関連のクラスとする。参照されるトピックリンクの主題と参照する関連リンクとの間に確立されるクラス及びインスタンスの関係は,その関連リンクがトピックリンクの主題のインスタンスになるという意味をもつ出現役割を用いて,関連リンクを,参照される側のトピックリンクの出現とすることによっても確立することができる。

備考  主題がトピック関連のクラスとなるトピックリンクが,identity 属性を指定し,そのidentity 属性によって参照される主題記述子が同じ主題を記述する場合には,それらのクラスのインスタンスとなる関連リンクを,普遍的に,等価関係の表明として認識できる。それら関係の性質に依存するが,関連型を定義するために公開主題記述子を使用することで,トピックマップが異種の資源から生じる場合であっても,トピックマップの併合処理が著しく容易になることもある。

関連型(type )属性が指定されていて,そのtype 属性によって参照されるトピックが,トピックマップ利用者の文脈に適切な有効範囲内に存在する名前特質をもっている場合は,参照されるトピックの名前特質を使用して,利用者のために関連型を特徴付ける。そうでない場合には,linktype 属性(又はlinktype 属性が指定されていない場合には,共通識別子)の値を使用して,利用者のために関連型を特徴付ける。

備考  type 属性を通じて参照されるトピックは,多くの異なる自然言語及び配布基盤を含んだ多くの異なる利用者の文脈のために設計された有効範囲の中に多くの名前をもつことができる。一方,linktype 属性又は共通識別子は,単に一つのトークンとする。そこで,関連型を特徴付けするためにtype 属性が参照するトピックを使用することで,linktype 属性又は共通識別子が提供する単純なニモニック名前付け機能よりもはるかに高い柔軟性及び表現力が提供される。

<!element assoc   -- Association link --
                  -- Clause: 5.3.1 --
                - O (assocrl)+ >
<!attlist assoc
   HyTime         -- HyTime architectural form name --
      NAME
      #FIXED
      varlink
   scope          -- Scope --
                  -- Reference to themes that are added to
                     the scope within which the association
                     is applicable. --
      CDATA       -- Reference --
                  -- Reftype: topic+ --
      #IMPLIED    -- Default: Scope is unconstrained. --
   linktype       -- Hyperlink type. --
                  -- Mnemonic name for the association
                     type. --
                  -- Note: Not displayed for the topic map
                     user if the topic referenced by the
                     type attribute has displayable
                     characteristics within the user's
                     scope. --
      NAME
      #IMPLIED    -- Default: Generic identifier --
   type           -- Association type --
                  -- Topic whose subject is the class of
                     association of which this association
                     is an instance. --
      CDATA       -- Reference --
                  -- Reftype: topic --
      #IMPLIED    -- Default: No type is specified by this
                     attribute.  --
                  -- Note: A type might exist by virtue of
                     the fact that this association link is
                     an occurrence (where the occurrence
                     role means "instance") of a topic whose
                     subject is the nature of the
                     association, however. --
>

5.3.2 関連役割体系形式

関連役割(assocrl )要素形式は,それを含む関連リンク要素が表明する関係において,一つ以上の特定のトピックが演じる利用者定義の役割を指定する。役割を演じるトピックは,それが存在する場合には,関連役割要素の内容の中に指定される所在番地を使って参照される。一つの関連リンク内で,一つ以上のassocrl 要素が同じトピックを参照してもよい。その場合には,トピックは,関連において,複数の役割を演じる。

備考  このように,含む側のassoc 要素は,トピックがそれ自体への一つ以上の特定の関係をもつことを表明できる。

含まれるassocrl 要素の内容で参照されるすべてのトピックは,それを含むassoc 要素が表現する関係においてそれらのトピックが演じる関連役割とは関係なく,同じ有効範囲内の関係においてそれらの役割を演じる。

備考  この理由で,assocrl 要素形式にはscope 属性が存在しない。

任意選択のHyTime定義の端点役割(anchrole )属性は,関連役割に対して,ニモニック名を提供するために使用できる。anchrole 属性が指定されていない場合は,共通識別子を関連役割のニモニック名と見なす。

任意選択の関連役割型(type )属性は,一つのトピックリンクを参照する。参照されるトピックリンクの主題は,assocrl 要素によって表現された関連役割がインスタンスとなる関連役割のクラスとする。参照されるトピックリンクの主題と参照するassocrl 要素との間に確立されたクラス及びインスタンスの関係は,関連役割がトピックリンクの主題のインスタンスになるという意味をもつ出現役割の有効範囲内において,assocrl 要素を参照されるトピックリンクの出現とすることによっても確立できる。

備考  その主題が関連役割型となるトピックリンクがidentity 属性を指定していて,そのidentity 属性によって参照される主題記述子が同じ主題を記述する場合には,それらの関連役割型のインスタンスであるassocrl 要素を,普遍的に,等価な関連役割の指定として認識できる。それら関連役割の性質に依存するが,関連役割型を定義するために公開主題記述子を使用することで,トピックマップが異種の資源から生じる場合であっても,トピックマップの併合処理が著しく容易になることもある。

関連役割型(type )属性が指定され,そのtype 属性によって参照されるトピックが,トピックマップ利用者の文脈に適切な有効範囲内に存在する名前特質をもっている場合には,その参照されるトピックの名前特質を使用して,利用者のために関連役割を特徴付ける。そうでない場合には,anchrole 属性(又はanchrole 属性が指定されていない場合には,共通識別子)の値を使用して,利用者のために関連役割を特徴付ける。

備考  type 属性を通じて参照されるトピックは,多くの異なる自然言語及び配布基盤を含む多くの異なる利用者の文脈のために設計された有効範囲の中に多くの名前をもつことができる。一方,anchrole 属性又は共通識別子は,単に一つのトークンとする。そこで,関連役割を特徴付けるためにtype属性が参照するトピックを使用することで,anchrole 属性又は共通識別子が提供する単純なニモニック名前付け機能よりもはるかに高い柔軟性及び表現力が提供される。

assocrl 要素型は,HyTime体系のanchspec 要素型から派生する。残りの属性(linktravlisttravmultmem 及びemptyanch )は,HyTime規格が定義するanchspecy 要素型から継承される。これらには,トピックマップ応用のために一般に適切なデフォルト値が与えられているが,それらは,必ずしも,HyTime体系(JIS X 4155:1999参照)が指定するデフォルト値である必要はない。

<!element
  assocrl         -- Association role --
                  -- Clause: 5.3.2 --
  - O
  (%loc;)+        -- Reftype: topic+ --
>

<!attlist
  assocrl
   HyTime         -- HyTime architectural form name --
      NAME
      #FIXED
      anchspec
   anchrole       -- Anchor role --
                  -- Note: Not displayed for the topic map
                     user if the topic referenced by the
                     type attribute has displayable
                     characteristics within the user's
                     scope. --
      NAME
      #IMPLIED    -- Default: GI of element is treated as
                     anchor role. --
   type           -- Association role type --
                  -- Reference to the topic that names
                     and/or otherwise characterizes the
                     association role.  The characteristics
                     of the referenced topic, if
                     appropriate, will be displayed to the
                     user instead of the value of the
                     anchrole attribute. --
      CDATA       -- Reference --
                  -- Reftype: topic --
      #IMPLIED    -- Default: No topic characterizes the
                     association role, unless this element
                     is an occurrence (with an occurrence
                     role whose meaning is instance) of a
                     topic whose subject is the nature of
                     the association role.  The value of the
                     anchrole attribute will be displayed as
                     the association role name. --
   linktrav       -- Hyperlink traversal rules --
                  -- Traversal between anchors of hyperlinks:
                     A any traversal or departure (EID)
                     D departure after internal arrival
                     E traversal after external arrival
                     I traversal after internal arrival
                     N no traversal after internal arrival
                     P no internal arrival
                     R return traversal after internal arrival --
      NAMES       -- Lextype: ("A"|"EI"|"ER"|"ED"|"EN"|"EP"|"ERD"|
                               "I"|"ID"|"D"|"N"|"P"|"R"|"RD") --
      A
   listtrav       -- List traversal rules --
                  -- Traversal between members of list anchors:
                     A adjacent (both left and right) traversal
                     L left traversal
                     N no traversal
                     R right traversal
                     W wrapping traversal --
      NAMES       -- Lextype: ("A"|"AW"|"L"|"LW"|"N"|"R"|"RW") --
      N           -- Default: Show the whole list --
   multmem
      (single|list|corlist)
      list
   emptyanc
      (error|noterror)
      error
>

5.4 追加予定テーマ体系形式

追加予定テーマ(addthms )要素は,次に対してテーマの追加を認める。

    a) トピックマップ文書実体(tmdocs )属性を通じて参照されるトピックマップ文書の中のトピックリンク及びトピック関連が指定する,すべてのトピック特質割当て(すなわち,すべてのトピック名,トピック出現及び他のトピックとの関連において演じられる役割)のすべての有効範囲。
    b) 存在する場合には,特質割当子(cassign )属性を通じて参照される特定のトピックリンク(及びトピックリンクの下位要素)が指定するすべてのトピック名及びトピック出現の有効範囲。
    c) 存在する場合には,特質割当子(cassign )属性を通じて参照される特定の関連リンクが指定するトピック関連の中のトピックが演じるすべての役割の有効範囲。

追加テーマ(addthems )属性の値は,一つ以上のトピックリンク要素への参照とする。参照されるトピックリンク要素は,トピックマップ応用によって,tmdocs 属性及びcsaaign 属性を通じて指定されるトピック特質の有効範囲の中の追加テーマとして見なされなければならない。

tmdocs 属性及びcsaaign 属性は,お互い独立とする。両方とも指定された場合には,tmdocs 属性は,cassign 属性を通じて指定された番地のための所在元を確立しない。cassign 属性は,それ自体の所在元を確立する方法で使用されなければならない。

備考  複数のトピックマップを併合するほうがよい場合,tmdocs 属性は,応用がトピックの特質を区別することを,それらの特質に寄与した異なるトピックマップを用いて可能とするために使用できる。例えば,与えられたトピックマップの強調したい箇所又は目的を表現するトピックを生成し,それから,addthms 要素を使って,新しいトピックは,トピックマップが指定するトピック特質のすべてが有効といえる付加的な有効範囲として使用することができる。トピックマップ文書が他のトピックマップ文書と併合された後,結果として生じる併合されたトピックマップに対してなされた寄与は,寄与されたものすべてが,寄与した文書又はハイパ文書を表現するトピックの有効範囲内に出現し続けるという事実に基づいて,他のすべてのものから区別できる。

備考  addthms 要素の内容は,トピックマップ体系によって定義されない。

<!element
  addthms         -- Themes to be added --
                  -- (To scopes specified by topic map
                     documents and/or by topic links and/or
                     association links.)  --
                  -- Clause: 5.4 --
  - O
  (TMBrid)*       -- No content defined by the Topic Maps
                     architecture --
>

<!attlist
  addthms         -- Themes to be added --
                  -- Clause: 5.4 --
   addthems       -- Added themes --
                  -- Themes to be added to the scopes
                     specified by the tmdocs and cassign
                     attributes --
      CDATA       -- Reference --
                  -- Reftype: topic+ --
      #REQUIRED
   tmdocs         -- Topic map document entities --
      ENTITIES    -- Constraint: Must be one or
                     more document entities of
                     topic map documents. --
      #IMPLIED
   cassign        -- Characteristic assigners --
                  -- Elements that assign characteristics to
                     topics.  The themes specified by the
                     addthms attribute are to be added to
                     the scopes within which the
                     characteristics they specify are
                     regarded as valid --
      CDATA       -- Reference --
                  -- Reftype: (topic | topname | basename |
                     dispname | sortname | occurs | assoc)+
                     --
      #IMPLIED
>

5.5 ファセットリンク付け

ファセットリンク付け 機能によって,特性及び値の対を,読取り専用の情報オブジェクトに追加することができる。特性をファセット型 と呼び,値をファセット値 と呼ぶ。この規格は,ファセットリンク付けの応用の性質を制約しない。それらは,トピックリンクを使用してもしなくてもよい。

備考1  ファセットリンクが適用する特性及び値の対は,例えば,コーパスの部分的なビューを作成するための選択基準として使用できる。

備考2  トピックリンクは,ファセットリンクよりもはるかに一般化され強力になっている。

5.5.1 ファセットリンク体系形式

ファセットリンク(facet )要素形式は,それに含まれるfvalue 要素が指定する情報オブジェクトに,特性及び値の対を適用するために使用する。ファセットリンク特性(“ファセット型”)及び(含まれるfvalue 要素を使って指定する)値は,利用者定義とする。

任意選択のハイパリンク型(linktype )属性は,特性(ファセット型)にニモニック名を提供するために使用できる。linktype 属性が指定されていない場合,共通識別子が,その特性のニモニック名と見なされる。

任意選択のファセット型(type )属性は,一つのトピックリンクを参照する。参照されるトピックリンクの主題は,ファセットリンクによってなされた特性及び値の対の割当てすべてに指定される特性(ファセット型)とする。参照されるトピックリンクの主題と参照するファセットリンクとの間に確立されるクラス及びインスタンスの関係は,そのファセットリンクがトピックリンクの主題のインスタンスになるという意味をもつ出現役割を用いて,ファセットリンクを参照されるトピックリンクの出現とすることによっても確立できる。ファセット型(type )属性が指定されていて,そのtype 属性によって参照されるトピックがトピックマップ利用者の文脈に適切な有効範囲内に存在する名前特質をもっている場合には,参照されるトピックの名前特質を使用して,利用者のために特性(ファセット型)を特徴付ける。そうでない場合には,ハイパリンク型(linktype )属性(又はlinktype 属性が指定されていない場合には共通識別子)の値を使用して,利用者のために特性を特徴付ける。

備考  type 属性を通じて参照されるトピックは,多くの異なる自然言語及び配布基盤を含む多くの異なる利用者の文脈のために設計された有効範囲の中に多くの名前をもつことができる。一方,linktype 属性又は共通識別子は,単に一つのトークンとする。そこで,特性(ファセット型)を特徴付けるためにtype 属性が参照するトピックを使用することで,linktype 属性又は共通識別子が提供する単純なニモニック名前付け機能よりもはるかに高い柔軟性及び表現力が提供される。

facet 要素型は,HyTime体系のvarlink 要素型から派生する。

<!element
  facet           -- Facet link --
                  -- Clause: 5.5.1 --
  - O
  (fvalue)+
>

<!attlist facet
   HyTime         -- HyTime architectural form name --
      NAME
      #FIXED
      varlink
   linktype       -- Hyperlink type. --
                  -- Mnemonic name for the property (facet
                     type).  --
                  -- Note: Not displayed for the topic map
                     user if the topic referenced by the
                     type attribute has displayable
                     characteristics within the user's
                     scope. --
      NAME
      #IMPLIED    -- Default: Generic identifier --
   type           -- Facet type --
                  -- Topic whose subject is the property of
                     the property/value pair(s) being
                     assigned to the anchor(s). --
      CDATA       -- Reference --
                  -- Reftype: topic --
      #IMPLIED    -- Default: No facet type topic is
                     specified by this attribute. --
                  -- Note: A facet type topic might exist by
                     virtue of the fact that this facet link
                     is an occurrence (where the occurrence
                     role means "instance") of a topic whose
                     subject is the nature of the property,
                     however.  --
>

5.5.2 ファセット値体系形式

ファセット値(fvalue )要素形式は,それを含むファセットリンクが適用する特性(ファセット型)の利用者定義の値を指定する。特性及び値の対が割り当てられる情報オブジェクトは,fvalue 要素の内容の中に指定される所在番地を用いて参照される。

任意選択のファセット値名(facetval )属性は,割り当てられる特性及び値の対の値であるトークンを指定する。facetval 属性が指定されていない場合,fvalue の共通識別子を割り当てられる値とする。

任意選択のファセット値型(type )属性は,一つのトピックリンクを参照する。参照されるトピックリンクの主題が,ファセット値にとって重要である。参照されるトピックリンクの主題と参照するfvalue 要素との間に確立されるクラス及びインスタンスの関係は,fvalue 要素がトピックリンクの主題のインスタンスになるという意味をもつ出現役割を用いて,fvalue 要素を,参照されるトピックリンクの出現とすることによっても確立できる。

fvalue 要素型は,HyTime体系のanchspec 要素型から派生する。その属性(linktravlisttravmultmem 及びemptyanch )は,HyTime規格が定義するanchspec 要素型から継承される。これらは,fvalue 要素のために一般に有効なデフォルト値が与えられているが,HyTime規格(JIS X 4155:1999参照)が指定するデフォルト値と異なっていてもよい。HyNames 体系制御属性は,ここでは,HyTime処理目的のためには,facetval 属性をHyTimeのanchrole 属性として見なすのがよいということを示すために使用する。JIS X 4155:1999を参照すること。

<!element
  fvalue          -- Facet value --
                  -- Clause: 5.5.2 --
  - O
  (%loc;)*
>

<!attlist
  fvalue
   HyTime         -- HyTime architectural form name --
      NAME
      #FIXED
      anchspec
   facetval       -- Facet value name --
                  -- Token is value of property being
                     assigned. --
      NAME
      #IMPLIED    -- Default: Facet value name is GI of
                     element. --
   type           -- Facet value type --
                  -- Reference to a topic whose subject is
                     the significance of the facet value
                     name. --
      CDATA       -- Reference --
                  -- Reftype: topic --
      #IMPLIED    -- Default: No facet value type topic is
                     specified by this attribute. --
                  -- Note: A facet value type topic might
                     exist by virtue of the fact that this
                     fvalue element is an occurrence (where
                     the occurrence role means "instance")
                     of a topic whose subject is the
                     significance of the facet value name,
                     however. --
   linktrav       -- Hyperlink traversal rules --
                  -- Traversal between anchors of hyperlinks:
                     A any traversal or departure (EID)
                     D departure after internal arrival
                     E traversal after external arrival
                     I traversal after internal arrival
                     N no traversal after internal arrival
                     P no internal arrival
                     R return traversal after internal arrival --
      NAMES       -- Lextype: ("A"|"EI"|"ER"|"ED"|"EN"|"EP"|"ERD"|
                               "I"|"ID"|"D"|"N"|"P"|"R"|"RD") --
      A
   listtrav       -- List traversal rules --
                  -- Traversal between members of list anchors:
                     A adjacent (both left and right) traversal
                     L left traversal
                     N no traversal
                     R right traversal
                     W wrapping traversal --
      NAMES       -- Lextype: ("A"|"AW"|"L"|"LW"|"N"|"R"|"RW") --
      N           -- Default: Show the whole list --
   multmem
      (single|list|corlist)
      list
   emptyanc
      (error|noterror)
      noterror
   HyNames
      CDATA
      "anchrole facetval"
>

6. 適合性

トピックマップ文書がこの規格のすべての条項に適合し,JIS X 4151:2001に定義される適合SGML文書となり,JIS X 4155:1999に定義される適合HyTime文書となる場合,その文書は,適合トピックマップ文書とする。

既存のトピックマップを使用することを意図する適合応用は,次が可能でなければならない。

    a) 交換構文の構文解析。
    b) この規格が定義するトピックマップ構成要素の識別。
    c) 応用が満すほうがよい要件及びこの規格が定義するとおりの構成要素のセマンティクスに照らして<,応用の設計者が適切と考える処理への適用。

トピックマップの生成を意図する適合応用は,この規格が定義する構成要素を,それら構成要素の構文と適合する方法で使用して表現可能な情報を,エクスポートできなければならない。

トピックマップの読取り書込みを意図する適合応用は,これら要件の両方を満たさなければならない。応用が,トピックマップをインポートでき,それらを編集する機能をもつが,変更されたトピックマップをこの規格が定義する交換構文でエクスポートできない場合には,その応用は,適合応用ではない。

備考  この規格は,トピックマップの利用方法についても,適合応用が適用してもよい処理の特質についても制約しない。この適合性の箇条は,適合トピックマップが,読取り専用の適合応用が適合トピックマップを理解することを意図している程度まで理解可能となること,及びトピックマップ構文を使用して表現されるトピックマップ化する情報が,適合する読取り書込み応用によって保持されること(ただし,読取り書込みを行う応用の利用者が故意にその情報を変更した範囲は除く。)を保障することを意図している。