8.1 OReLにおけるメタデータの扱い

OReLによるメタデータ付けは、原則的に1997年11月に提案されたDublin Coreのスキーマに基づいて行なわれている。Dublin Coreは、ネットワークオブジェクトの属性記述のために提案された一般的な属性項目群である。Dublin Coreで提案されているフィールドを、さらに下位項目に分けて表現するために、OReL上では、一部のフィールドを修飾子 (qualifier) 付きのフィールドとした。

OReLで使用されているフィールドを次に示す。これらは、主としてオブジェクトの内容に関するフィールドである。

また、OReLデータベース管理のためのメタデータとして追加したフィールドを次に示す。 Dublin Coreをメタデータスキーマとして採用した理由は、一般的なネットワークオブジェクトを記述するために最低限必要なフィールドが予め用意されていることである。ネットワーク上のリソース発見を効率化するためにも、それぞれのデータベースが全く独自のスキーマを開発し使用するのではなく、共通性をもったスキーマをベースとして使用すること、また、相互に解釈可能なスキーマを使用することが重要である。
 

8.2 OReLのメタデータモデル

OReLの運営側は、リソースの作成者とは無関係にメタデータ付けを行なう。リソースの作成者は、自分のリソースにメタデータが与えられていることに気付かない可能性がある。これは、Warwick Frameworkでいう“外部からのメタデータ付け (externally-referenced metadata)” のモデルに相当する。これは、リソースの作成者や関係者がリソースの一部としてメタデータを作成する“内部からのメタデータ付け”に対立するモデルである。 外部からのメタデータ付けの例としては、図書館の書誌データや、書籍や映画の批評などがある。

外部からのメタデータ付けを行なう場合、メタデータからリソース本体へは参照が行なわれるが、その逆である、リソース本体からメタデータへの参照は、必ずしも必須ではない。OReLの場合、リソース本体からメタデータへの参照は行なわれていない。

OReLのメタデータデータベースの構成は、図8.1の通りである。この図は、インターネット上のリソースと、OReL内のメタデータが独立していることを示す。また、複数のメタデータデータベースが併存する場合、複数のデータベースを中継するための機構が必要であり、図中では、これを「中継サーバ」として示している。ただし、現在は、他のデータベースとの連携がないために、メタデータ情報は、「中継サーバ」を介すことなく直接ユーザに提供されている。
 

 OReL Diagram
図8.1 OReLの構成
 

8.3 実証結果

ネットワーク上のリソースに対するメタデータ付けが有効なのは、OReLが対象にする学術リソースの場合だけではない。メタデータ付けの手法は、一般的に、ある一定の目的に合致するリソースを確実に検索したい、という場合に有効であると考えられる。この意味では、商品属性情報を提供する場合と、問題点を共有している。 WWW全体の網羅的な検索を行なうことでなく、趣旨に合致するリソースだけを確実に検索することが目的である場合には、本サービスは有効であることが示された。


[8.目次に戻る] [9.に移る]